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E217系近郊形直流電車


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量産先行車

 JR東日本の横須賀線および総武快速線では、国鉄時代から113系近郊形直流電車が使用されていたが、これを置き換えることになり、1994(平成6)年から製造されたのが本系列である。まず同年8月に量産先行車(1次車)として2編成が東急車輛製造と川崎重工業で落成し、大船に配置され、同年12月3日より営業運転を開始した。
 朝夕のラッシュ時の混雑緩和を最重要ニーズとして設計され、普通車は近郊形タイプで初めての4扉車となった。普通車の座席配置はロングシートを基本とし、基本編成の9~11号車の3両がセミクロスシートとなった。グリーン車についてもラッシュ時の座席確保を図ることとし、2階建て構造となっている。編成は基本11両(4M7T)+付属4両(2M2T)からなり、4・5号車に2階建て構造のグリーン車を連結する。セミクロスシートの3形式を基本番代とし、ロングシート車は2000番代であるが、セミクロスシート車のモハE217形0番代とユニットを組む8号車のM'車についてはモハE216形1000番代としてユニット相手と末尾の車号が揃えられた。また、偶数向き制御車(久里浜方)はクハE216形であるが、自動解結装置・電気連結器付の基本編成用が2000番代、付属編成用が1000番代と区分された。
 車体構造については、209系通勤形直流電車に準じた軽量ステンレス構体となっているが、車体幅は211系近郊形直流電車と同じ2,950mmで、裾絞りのある構造である。グリーン車は215系の2階建てグリーン車の車体構造を基本として、車体幅は2,900mmとなり、1階部分の床幅を有効に確保するため裾絞り量が少なくなっている。車体構造は東急、新津・大船製が骨組構造であるのに対し、川重製は同社独自の2シート工法を採用している。先頭車は踏切事故対策として衝撃吸収構造を採用した高運転台構造で、運転台は209系と同様のワンハンドル方式である。先頭車の前面は貫通構造であるが、非常時のみ通り抜けが可能として基本編成と付属編成の間は通常は通り抜けできない。貫通扉は外開きスライドプラグドアとなっている。
 客室内は普通車ロングシート部については209系と同様の片持ち式腰掛で、9~11号車のクロスシートは扉間の大窓部に各1ボックス配置し、制御車の前位寄りの扉間はロングシートである。側窓は扉間の大窓部の中央部分を下降窓として両側は固定としてセミクロスシート配置に考慮し、車端の小窓は固定窓となっている。各窓は熱線吸収ガラスが採用され、ブラインドは省略された。グリーン車については腰掛を片持ち式回転リクライニングシートとし、客室側窓は熱線吸収ガラスの固定窓であるが、普通車と異なり巻き上げ式のブラインドが設置された。側引き戸は209系と同様に電気式戸閉装置が採用された。また、各車にAM/FMラジオ輻射装置を設置、客室内には普通車は側出入口上部、グリーン車は各客室妻部壁面に案内表示器が設置された。各先頭車車端には車椅子スペースが設置され、1・11・15号車には和式便所、5号車グリーン車には洋式便所および洗面所が設置されている。
 主回路装置は209系に準じた三菱電機製のGTOサイリスタ素子による3ステップインバータ装置(SC41B)で、VVVFインバータ制御装置が主電動機4台を1群とした制御を行い、制御装置1組に2両分2群のインバータユニットを収めている(1C4M2群)。主電動機はMT68で、補助電源装置はSC37A。保安装置はATC、ATS-P、ATS-SNを設置する。ブレーキシステムは回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ、最高速度は120km/hである。台車は209系を基本としているが、ヨーダンパが取り付けられたDT61B、TR246Bで、グリーン車はアンチローリング装置の準備工事が施されたTR246Cとなっている。(量産車ではヨーダンパはグリーン車のみとなり、後に量産先行車もヨーダンパなしの仕様となった。)

量産車の登場とその後の動向

 量産先行車の1次車に続いて、1995(平成7)11月から量産車である2次車が落成したが、一部1次車との仕様変更が行われた。
 先頭車の前面貫通扉については、操作性向上のため支持方式が変更され、下レールが追設された。このため前面FRP部のステップ形状と尾灯の取付方法が変更された。
 客室内は普通車の出入口部床材が滑りにくいものに変更されたほか、クロスシート部の腰掛が片持ち式に変更されて通路側の脚がなくなり、背ずりから荷棚に伸びる握り棒が廃止された。
 また、非常通報装置、戸閉装置、VVVFインバータ制御装置の機能向上が図られているほか、屋根上避雷器へのカバー設置、床下蓄電池箱等の軽量化がなされている。
 2次車は1995(平成7)年度に基本・付属各10編成(第03~12編成)150両が川崎重工業、東急車輛製造、JR東日本大船工場で製造された。なお、大船工場製は東急車輛から車両構体を購入して内装組立や艤装を行うノックダウン生産である。また、グリーン車は川重と東急のみの製造である。
 続いて3次車として1996(平成8)年度に基本・付属第13~21編成の135両が製造された。この3次車から東急車輛製普通車の側構体と屋根構体の接合方法が変更されたほか、電動空気圧縮機(CP)の静音化がなされている。
 この間、量産先行車の第2編成については1996(平成8)年11月に量産化改造のため新潟鉄工所へ入場し、クハE217-2・2002、クハE216-1002・2002は新製車体に載せ替えられ、前面貫通扉部分は量産車と同様に変更されている。
 量産車は1997(平成9)年度には4次車として基本・付属第22~25編成が増備され、この時から普通車に新津車両製作所製が加わった。また、普通車の便所が従来の3位側設置の和式便所から、4位側設置の車椅子対応大型洋式便所に変更された。これ以降、全基本編成の久里浜方先頭車(1号車)の便所を車椅子対応大型便所に統一することになり、付属編成の増1号車に相当する車両についても車椅子対応大型便所を設置した車両として製造されて3次車までの1号車に組み込み、従来の3次車までの1号車(クハE216形2000番代和式便所車)を新造の付属編成の増1号車に組み替える形となった。
 1997(平成9)年度には続いて5次車基本・付属第26~30編成、1998(平成10)年度には6次車基本・付属第31~37編成が増備された。
 1998(平成10)年度後半には7次車として基本・付属第38~40編成が増備されたが、この時から先頭車前面の貫通扉が廃止されてダミーとなり、各車の側面行先表示器はLEDに変更、電動車は主電動機がMT73に変更された。また、ロングシート車については側窓の構造が変更され、車体中央部の窓が大型1枚の固定窓となり、その他の開閉可能な窓はピラーが1本の2分割構造となり、大窓側が開閉可能となっている。なお、このうち先頭車の車体中央部の窓については、2007(平成19)年以降、209系と同様に開閉可能とする改造工事が行われた。
 1999(平成11)年度には基本第41~51編成、付属第41~46編成が増備され、基本編成51本、付属編成46本の計745両が揃った。
 大船(のち鎌倉)に配置され、1997(平成9)年からは幕張電車区にも配置、1999(平成11)年12月4日ダイヤ改正時に横須賀線・総武快速線の本系列への置換えが完了した。なお、幕張所属車は2006(平成18)年3月に鎌倉に転属した。また、2006(平成18)年3月改正においては、それ以前の改正で湘南新宿ライン系統の増発・E231系への統一により余剰が発生していた本系列の一部を東海道本線系統に転用することになり、基本・付属編成の第1~第3編成(F01~F03、F51~F53編成)が国府津に転属した。この際、東京方から付属編成5両+基本編成10両に組み替えられ、飾り帯もE231系近郊タイプと同様に変更された。国府津車は営業運転は東京-熱海間に限定された。F-02+F-52編成は2008(平成20)年、F-01+F-51編成は2010(平成22)年度に鎌倉に再転属したが、F-02+F-52編成は2012(平成24)年に再度国府津に転属している。2015(平成27)年3月改正で本系列の東海道線運用は終了し、全社鎌倉に再転属した。
 なお、本系列の保安装置はATS-P形とATS-SN、そして東京地下線用としてATC-5型を搭載していたが、2004(平成16)年に東京地下線区間はATS-Pに切り替えられてATC装置は使用停止となっている。
 2007(平成19)年度より機器更新工事が開始された。内容はVVVFインバータ制御装置のGTOサイリスタを用いたSC41B形から IGBT素子を使用したSC89形への変更、同様に補助電源装置(SIV)のSC37A形からSC88形への変更、ATS-P形制御装置およびブレーキ制御装置、電気式戸閉装置の更新などである。これに合わせて、鎌倉所属車は車体の飾り帯を明るい色調に変更し、先頭車前面のロゴが変更された。2012(平成24)年7月までに全編成の施工が完了した。 
 また、2009・2010(平成21・22)年には先頭車の前面のスカートが強化型に変更された。
 2020(令和2)年度より、横須賀線および総武快速線にはE235系が投入が開始され、2021(令和3)年より廃車が始まっている。

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