E531系一般形交直流電車
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0番代概説
JR東日本の常磐線および水戸線で使用されていた403系および415系鋼製車の置換用として2005(平成17)年から製造された。
E231系一般形直流電車を基本として設計され、車体は拡幅タイプで片側4扉、裾を絞った前面非貫通軽量ステンレス構体(前面はFRP製)、基本編成
4M6Tの10両編成、付属編成2M3Tの5両編成で、ロングシート車とセミクロスシート車で組成される点も同様である。設計コンセプトは「人に優しい車両システム」。床面高さはE231系よりも35mm下げられて、ホームと乗降口の段差改善、低重心化が図られている。先頭部のデザインはE231系とは異なり、前照灯と尾灯は上部行先表示器の左右に配置されている。415系1500番代../ec415/jnrec415_1500.htmlと同様に、幕板部と腰部には青色帯が巻かれている。車体側面には車外スピーカが設置されている。
普通車の客室内は、E231系と同様にセミクロスシート車とロングシート車があり、配色は一新され、腰掛についてはE231系よりも幅を拡大している。側扉は押しボタンによる半自動対応で、扉には黄色のテープ、扉付近の床部には黄色の点字ブロックを設けてバリアフリー化を図っている。便所は車椅子対応の大型タイプで、出入口の開口幅がE231系の741mmよりも拡大されて900mmとなった。列車制御システムとして、E231系で実績がある
TIMS(車両情報管理装置)およびVIS(情報提供装置)が搭載されている。
制御方式は日立製IGBT素子による1C4M方式のVVVFインバータ制御で、主変換装置は1C4M方式となっている。主電動機は三菱・日立・東洋3社によるかご形三相誘導電動機MT75(140kW)である。競合路線のつくばエクスプレスに対抗するため、営業最高速度は130km/hである。ブレーキ装置は回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキで、抑速ブレーキ、耐雪ブレーキも装備している。台車は、電動車がDT71、制御車と付随車はTR255系である。
編成は403・415系列とは異なり、E231系近郊タイプと同様に基本編成10両、付属編成5両である。まず2005(平成17)年に基本編成、付属編成各6本の計90両が東急車輛、川崎重工で製造され、7月9日ダイヤ改正より常磐線上野-大津港間で営業運転を開始、2006年になると常磐線いわき、水戸線(付属編成)と運用範囲が拡大した。
当初は基本編成の1・2・9・10号車と付属編成の13~15号車の7両がセミクロスシート、それ以外の8両がロングシートであったが、2007(平成
19)3月改正を機に、常磐線の中距離電車にもグリーン車を連結することになり、本系列の4・5号車に組み込む2階建てのサロE530形、サロE531形が製造されることになった。4・5号車のグリーン車は2006(平成18)年から東急車輛、川崎重工で製造され、この時点においてその他の車両はJR東日本新津車両製作所で製造されることとなった。グリーン車組込みにあたっては、K407~411編成の5本を4・5号車にCP付のサハE530形2000番代を組み込んだ10両編成で落成させて、そのサハE530形2000番代を、新たに6両編成で落成するK412~421編成の6号車として組込み、既存の
K401~406編成からは4・5号車に連結されていたサハE531形2000番代をK412~421編成の9号車に組み込んだ。K406編成の4・5号車は、5号車がK422編成の9号車へ、4号車のサハE531-2012を1両不足するK422編成のCP付付随車6号車としてサハE530-2022に改造して組み込んだ。この結果、基本編成の9号車はK401~411編成がセミクロスシートのサハE531形0番代、K412~422編成がロングシートのサハE531形2000番代となった。
2007(平成19)1月からグリーン車組込編成の運用が開始され、3月改正までは普通車扱いとされた。3月改正において、常磐線上野口の中距離電車はすべてE531系に統一され、基本編成22本、付属編成16本の300両の陣容となり、403・415系の鋼製車は定期運用から離脱した。この時点での
E531系の定期運用範囲は上野-高萩間であったが、E501系や415系1500番代の検査時などに代走として、常磐線高萩以北と水戸線でも使用されるようになる。
2009(平成21)年にスカートの強化型への取替が行われた。これ以降の増備車は当初から強化型スカートを装備して落成している。
2010(平成22)年には付属編成2本(K467・468編成)がE501系機器更新の際の車両不足を補うため製造された。
2014・15(平成26・27)年には、上野東京ライン開業及び415系1500番代置換用として、基本編成1本(K423)、付属編成7本(K469~475編成)が総合車両製作所横浜事業所で製造された。K423編成は9号車が再びクロスシートとなったほか、この時の増備車からAM/FM
ラジオ受信アンテナが廃止された。この増備により、415系1500番代の運用の一部が置き換えられたため、付属編成が水戸線および水戸-竜田間に定期運用を持つようになり、3月以降の上野東京ライン開業以降は、常磐線の運用が品川まで拡大した。
2017(平成29)年には、基本編成3本(K424〜426)、付属編成2本(K476・477編成)が増備された。そして、2019(令和元)年には付属編成2本(K478・479編成)が増備され、2020(令和2)年に増備されたK480編成以降は3000番代で改造の上で取り付けられた安全確認カメラが新製時から取り付けられている。
3000番代概説
2015(平成27)年10月からは準耐寒・耐雪仕様車として、付属編成の3000番代(編成番号K551~)が総合車両製作所横浜事業所で製造され、12月6日のK551編成を皮切りに従来の付属編成と共通運用を開始した。
在来車との主な変更点は、主電動機の風道変更に伴い、中間電動車側面に吸気口と整風板が片側2ヵ所設置され、客室内4ヵ所の腰掛下部に主電動機フィルターが設置されたこと、制御車にスノープラウが設置されてATS-P車上子の位置が変更されたこと、先頭車の屋根ランボードの前方への延長などである。主電動機はMT75A、主変換装置はCI13A、SIVがSC81Bに変更それた。また、CPについてもナブテスコ製からクノール製に変更されている。パンタグラフは在来車と同じPS37Aである。AM/FMラジオ受信アンテナについては、2014(平成26)年に増備された在来車と同様に廃止されている。
2015(平成27)年度は4編成が製造されて、2016(平成28)年3月改正において、415系1500番代は定期運用から撤退、常磐線、水戸線のローカル列車の普通車は4扉車に統一された。引き続き2016(平成28)年度には3編成が製造された。
2017(平成29)年10月14日ダイヤ改正では、東北本線黒磯駅構内の電力設備改良工事に伴い、新白河を境に同線の運転系統が見直され、黒磯-新白河間では朝夕の列車にE531系の付属編成が使われることになり、主に3000番代が充当され、2020(令和2)年3月14日ダイヤ改正ではE531系に統一された。
また、3000番代を皮切りに安全確認カメラが取り付けられている。