683系特急形交直流電車
メニュー
0番代
北陸地区の485系置換えのため、681系に続くJR西日本の特急形交直流電車として、2001(平成13)年から川崎重工、近畿車輛、日立製作所で製造された。
681系を基本として、基本編成2M4T6両、付属編成1M2T3両の編成で、大阪方1号車からクロ683形(Tsc)+サハ682形(Tp)+モハ683形1000番代(M)+サハ683形300番代(T3)+サハ682形(Tp)+クモハ683形1500番代(Mc5)=基本編成、クハ682形500番代(Tpc5)+モハ683形1300番代(M3)+クハ683形700番代(Tc7)=付属編成となっている。
機器類はM車に直流機器を配置、ユニットを組むTp車にパンタグラフと交流機器を搭載するが、最高運転速度は130km/hとしている。また、大阪方のグリーン車のみ流線形の非貫通形として、その他の先頭車は貫通形とすることで12両編成運転も可能とした。
車体は681系の形状を踏襲しているが、鋼製からダブルスキン構造のアルミ車体となった。非貫通形は上部の前灯を窓外に配置し、下部の前灯と尾灯を一体化したほか、681系とは非貫通形前面のスカート形状が変更され、密着連結器はカバー内への格納式から常時増備となった、側窓は681系の連続窓から非連続窓となったが、塗装により連続窓風となった。車体床面高さは1,125mmと下げ、転落防止幌を設置した。また、車体構造の見直しにより、床構造の遮音化や側引戸に押さえ装置を設けて気密性や遮音性の向上を図っている。車体塗色は681系と同様にオフホワイトを基調に、窓周りをグレーとし、窓下にブルーの帯を配している。 客室設備のうち、売店(プチカフェテリア)は廃止して車販準備室とし、自動販売機を設置したほか、車掌室配置の見直し、出入台配置の均等化を行っている。このほか、681系では基本編成のみであった車椅子対応設備を付属編成にも設けている。
空調設備(WAU704B)は、新たに喫煙車に空気清浄機能を持たせ、681系ではT車系でセパレート式として車体重心を低くしていたものを、床面を下げたことなどにより屋上集中配置としている。汚物処理装置も循環式から真空式に変更された。
車両制御装置はIGBT素子を使用した3レベル電圧形PWMインバータWPC11である。補助電源装置SIV(静止形インバータ)は、主回路のインバータと同様にIGBT素子を用いており、主回路制御インバータ4台と一体の箱に収めている。主整流装置はWPC12で、681系のサイリスタ位相制御から通産省のガイドラインに基づいてIGBT素子を使用したPWM制御である。 主電動機はWMT105(245kw)に増強された。台車は681系を基本として空気ばね位置を変更したWDT301(M車)、WTR301(T車)である。M台車の基礎ブレーキ装置は681系の油圧キャリパーによる車輪ディスク方式ではなく、最高運転速度130km/hであることから踏面ブレーキである。パンタグラフは681系と同様のWPS27Cである。
まず2001(平成13)年1・2月に基本・付属各4編成36両が製造されて2001(平成13)年3月3日ダイヤ改正から「サンダーバード」として運用を開始した。続いて2001(平成13)年12月と2002(平成14)年2月で基本・付属各2編成が増備されて、6編成54両が揃った。
2015(平成27)年3月14日改正で編成ごと方転し、付属編成は大阪方に連結されるようになった。
2016~18(平成28~30)年に後述の4000番代と同様に、車両リフレッシュ工事が行われ、グリーン車座席を変更、各車の車椅子対応便所に温水洗浄機能付き暖房便座を導入したほか、車体塗色は窓周りを黒、窓下に太い青帯を配して、車体のシンボルマークは変更された。
2000番代
1次車
「しらさぎ」、「加越」に使用されていた485系置換えのため、2002・03(平成14・15)年に基本編成5両×12本、付属編成3両×9本が近畿車輛、日本車輛製造、日立製作所、川崎重工業で製造された。
編成は米原方8号車からクモハ683形3500番代(Mc5)+サハ683形2400番代(T4)+クハ682形2700番代(Tpc7)=付属編成、クモハ683形3500番代(Mc5)+サハ683形2500番代(T5)+サハ682形2200番代(Tp2)+モハ683形3400番代(M4)+クロ682形2000番代(Tpsc)=基本編成である。
車体は0番代を基本としているが、出入台を後位側に統一し、車椅子対応設備のある車両については前位側にも幅広の出入口を設けている。先頭車はクロ682形のみ流線形の非貫通形である。車体塗色はオフホワイトとし、窓周りをグレー、窓下にはブルーと、その下に名古屋に直通するイメージを表すオレンジ色帯を配している。 客室内は車端部の腰掛にパソコン用の電源を設置、グリーン車にはドリンクホルダーを設置している。また、グリーン車は禁煙車であるが、車端部(3・4位側)に喫煙コーナーを設置している。
主回路システムやブレーキシステム、台車等は0番代に準ずる。 金沢総合車両所に配置され、2003(平成15)年3月15日改正から運転を開始した。
2015(平成27)3月の北陸新幹線金沢延伸で特急「はくたか」が廃止となり、「はくたか」に使用されていた681系を「しらさぎ」に転用、「しらさぎ」に使用されていた683系2000番代を直流化改造して、「くろしお」「こうのとり」「きのさき」「はしだて」に使用されていた381系を置き換えることになった。直流化にあたり、289系となって2015(平成27)年4~10月に以下のとおり改造された。
クモハ683-3501~3521→クモハ289-3501~3521
モハ683-3401~3412→モハ289-3401~3412
クロ682-2001~2012→クロ288-2001~2012(2016~18年にクロハ288化)
クハ682-2701~2709→クハ288-2701~2709
サハ683-2401~2409→サハ289-2401~2409
サハ683-2501~2512→サハ289-2501~2512
サハ682-2201~2212→サハ288-2201~2212
なお、サハ289-2510は運用に就かずに2016(平成28)年7月に廃車となった。
289系への改造直後は交流機器については使用停止扱いとしており、順次撤去が進められたが、福知山の付属編成2本は交流機器が存置され、2019(平成31・令和元)年4・6月にクモハ289-3502・3510、クハ288-2701・2706、サハ289-2401・2406がクモハ683-3502・3510、クハ682-2701・2706、サハ683-2401・2406として683系に復帰し、金沢に再配置された。
2次車
「サンダーバード」増結用として、2005(平成17)3月に3両編成4本12両が近車で製造された。編成の向きと車体塗色は0番代に合わせている。
4000番代
北陸本線系統の特急「雷鳥」に使用されていた485系を置換えるため2009~2011(平成21~23)年に近車および川重で9両編成12本が製造された。これまでの基本編成+付属編成による構成を見直して9両固定編成とし、従来、基本+付属編成を組む場合に6・7号車間に側出入口がなく、不揃いであったが、9両固定編成とすることで大阪方にも側出入口を設置して位置の統一が図られた。編成は大阪方1号車からクロ683形4500番代(Tsc5)+サハ682形4300番代(Tp3)+モハ683形5000番代(M)+サハ682形4400番代(Tp4)+モハ683形5400番代(M4)+サハ683形4700番代(T7)+サハ683形4800番代(T8)+サハ682形4300番代(Tp3)+クモハ683形5500番代(Mc5)の構成である。なお、最初の2編成(T41・T42編成)の落成当初は3号車と5号車の位置が逆であったが、T43編成の落成以降前述の組成に改められている。将来の運用の柔軟性に対応するため、両先頭車は貫通タイプとしたが、Tsc車については準備工事としている。最高運転速度は130km/hであるが、ブレーキ装置変更で160km/h運転に対応可能としており、電動車は5000番代に区分されている。
車体は2000番代を基本としているが、223系以降に導入されている衝突に対する衝撃軽減のオフセット対策構造を採用した。車体塗色は0番代と同様にオフホワイトを基調に、窓周りをグレーとし、窓下にブルーの帯を配している。 客室内は腰掛の形状を改善したほか、普通車の腰掛は青系で統一している。また、グリーン車全席にコンセントを設置、荷棚の奥行拡大、側天井の立ち上げ方変更による荷棚上部スペースの拡大、車椅子対応便所の拡大、女性専用便所(3・7号車)の設置など、サービス向上が図られ、カード式公衆電話は廃止された。
機器類としては、主回路装置は2000番代に準ずるが、主電動機については絶縁種別見直しによって1時間定格出力を10kw増大して255kWとしたWMT105Aとなっている。また、保安装置を最新タイプとしたほか、運転状況記録対応モニタ装置などを採用している。パンタグラフはシングルアーム式のWPS28Dに変更された。空調装置は容量増大と低騒音化などが図られたWAU704Dとなった。
2009(平成21)年6月1日ダイヤ改正で「サンダーバード」として営業運転を開始した。 2015(平成27)年3月14日改正で編成ごと方転し、在来の付属編成を増結する場合は大阪方に連結するようになった。
2015~18(平成27~30)年に車両リフレッシュ工事が行われ、グリーン車座席を変更、各車の車椅子対応便所に温水洗浄機能付き暖房便座を導入したほか、車体塗色は窓周りを黒、窓下に太い青帯を配して、車体のシンボルマークは変更された。 2023(令和5)年3月18日改正で金沢から京都に転属して編成番号はT41~T52からB31~B42となった。
8000番代
北越急行では、特急「はくたか」のうちJR東日本485系3000番代で運用されていた運用を置き換えるため、特急用車両を増備することになった。そこで、JR西日本の683系0番代を基本とした683系8000番代9両(N03編成基本6両、N13編成付属3両)が2005(平成17)年2月に新潟トランシスで製造された。(ノックダウン生産により車体は川崎重工業で製造) 登場時の編成は大阪方1号車からクロ683-8001(Tsc)+サハ682-8002(Tp)+モハ683-8301(M3)+サハ683-8301(T3)+サハ682-8001(Tp)+クモハ683-8501(Mc5)=基本編成、クハ682-8501(Tpc5)+モハ683-8001(M)+クハ683-8701(Tc7)=付属編成である。
160km/h運転に対応するため681系と同様にM車にキャリパ式ディスクブレーキを装備し、車体塗色は681系2000番代に準じた「スノーラビット」仕様で、客室内もグリーン車のモケット色は明るめ、普通車は奇数号車がピンク、偶数号車がグレーブルーとなっており、0番代とは異なる。 2005(平成17)年3月1日改正から営業運転を開始、JR西日本の編成と同様に2014(平成26)年11月に3号車と8号車を入れ替えた。
2015(平成27)年3月14日改正で特急「はくたか」の廃止により、681系2000番代と同様にJR西日本に譲渡され、その際に編成ごと方転した。譲渡直後は北越急行色のままであったが、同年6月までに「しらさぎ色」に変更された。 金沢総合車両所に配置され、N03編成は主に「しらさぎ」として681系と共通運用、N13編成は「サンダーバード」増結用として運用に就くことが多くなっている。