HB-E210系一般形気動車
概説
JR東日本では、東日本大震災で甚大な被害を受けた仙石線の復旧工事を進め、2015(平成27)年5月30日より全線の運転を再開したが、同時に東北本線塩釜-松島間と仙石線松島海岸-高城町間に建設された短絡線を経由して仙台-石巻間の到達時間短縮を図る「仙石東北ライン」を運転することになった。東北本線は交流電化、仙石線は直流電化であるが、短絡線(仙石線・東北本線接続線)部分は非電化であることから、同線に対応するハイブリット車として開発されたのが本系列である。2015(平成27)年に総合車両製作所横浜事業所でHB-E211形-HB-E-212形の2両編成8本が製造された。
小海線のキハE200形やリゾート車両HB-E300系と同様に、発電用のエンジン、発電機、主回路用蓄電池,主変換装置(コンバータ・インバータ)、および車輪駆動用主電動機(モータ)で構成される「シリーズハイブリッドシステム」を採用している。力行時はエンジンおよび発電機からの電力と、主回路蓄電池からの電力を組み合わせて、主電動機をインバータで駆動する。一方、ブレーキ時には回生電力を主回路蓄電池に蓄えて、これを動力源として有効利用する。
車体は全長20mのステンレス製で前面はFRP、側出入口は両開き3扉となっており、同時期に製造されているE129系一般形直流電車に準じたデザインである。側窓は開閉可能な部分を上段下降の開閉式としている。床面高さは1,130mmで、仙石線の1,100mm、東北本線の9620mm高さのホームに対応したノンステップ構造である。車体の飾り帯は仙石線の青、東北本線の緑のラインカラーに、沿線の塩竈桜の桜色を組み合わせたものとなっている。ワンマン運転は行わないが、ワンマン対応機器の準備工事がなされている。
客室内はE721系一般形直流電車に準じたセミクロスシートであるが、モケット色は青系となり、ハイブリッドシステムやブレーキ制御装置、エンジンコントローラなどを収めた機器室が配置されているため、座席配置は変則的となっている。
各車ともに機関、発電機、蓄電池、主変換装置を搭載している。機関はDMF15HZB-G(450PS/2100rpm)でキハE120形、キハE130系で使用されているものを一部仕様変更している。発電機はDM113で、キハE200形、HB-E300系で使用されているものに準ずる。
台車はHB-E300系のDT75A/TR260Aに準じた、DT75B/TR260Bとなっている。冷房装置はAU732A(33,000kcal/h)を屋根上に1基搭載している。
小牛田に配置され、2015(平成27)年5月30日より「仙石東北ライン」仙台-石巻間および入出庫時の仙台-小牛田間で営業運転を開始、2016(平成28)年8月6日より石巻線の女川まで運転を拡大した。
HB-E211-1〜8
仙台方の先頭車で、3位側に車椅子対応の大型便所が設置されている。定員128(座席42)名。
HB-E212-1〜8
石巻・女川方の先頭車。屋根上前位寄りに元空気タンク、中央に冷房装置、後位寄りに主回路蓄電装置を搭載する。定員134(48)名。4位側の窓のない部分が機器室となっている。車体前面および側面には「HYBRID TRAIN」のロゴが入る。HB-E210系の保安装置はATS-Ps形で、ATS-P形については準備工事となっている。
HB-E212-6(仙ココ)
2015.3新製
2016年9月17日 石巻駅にて
HB-E211形車内
HB-E211-6の車内。3位側に機器室が設置されている。。
2016年9月17日
HB-E211形後位車端部
HB-E211-6の車内。3位側車端部には車椅子対応大型洋式便所が3位側に設置されている。
2016年9月17日
HB-E212形車内
HB-E212-6の車内。排気口を挟んでロングシートが変則的に配置されている。
2016年9月17日
ハイブリッドモニタ
各車とも機器室側面のクロスシート上部に液晶式の「ハイブリッドモニタ」が設置され、ハイブリッドシステムの動作状態を表示している。
HB-E212-6 2016年9月17日