E721系一般形交流電車
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0番代概説
JR東日本仙台地区で使用されていた455・457・417・717系の置換用として、2006(平成18)年から川崎重工と東急車輛で製造された。
McT'cの2両編成で、基本構造はひと足先に登場した500番代と同様である。
車体は軽量ステンレス構体(前頭部はFRP製)で、客用側扉を片側3ヵ所に設けているが、E531系などと異なり、仙台地区の低いホームにおいてバリアフリーに対応するため床下機器や車輪径の小型化(直径810mm)などにより、低床化が図られている。床面高さは701系に比べて180mm低くなりレール面上950mmで、車体幅は2,950mm、側出入口はステップなしのフラット構造となっている。仙山線へも乗り入れるため、パンタグラフ折りたたみ高さは4,100mmである。前位寄りは電気連結器を装備し、E721系同士の連結時は上下段使用、701系との連結時は上段のみ使用し、これにより701系併結を検知して回路を切り替えるシステムとされている。
客室内はE233系の配色を基本としており、701系と異なりセミクロスシートとなった。クロスシートは片持ち式で、シートピッチは1,585mm、ロングシートについてもE231系よりもひとりあたりの座席幅が10mm拡大されて460mmとなった。便所はT'c車に車椅子対応の大型のものが設置されている。将来のワンマン運転に備えて、整理券発行機および出入口表示器の準備工事がなされている。
制御装置はIGBT素子によるVVVFインバータ制御で、小型化した主変換装置、主変圧器などの主回路機器をMc車に搭載し、T'c車にはSIV、CPなどの補機類を搭載している。台車はDT72/TR256で、E531系のDT71/TR255を基本としているが、低床化に対応するため車輪径はE351系などと同じ810㎜となり、M台車の大歯車も小型化されている。最高運転速度は120km/kであるが、701系との併結運転時は100km/hとなる。
まず2006・07年(平成18・19)年に2両編成39本の計78両が製造され、仙台に配置された。営業運転開始は500番代よりも早く、2007(平成19)年2月1日の東北本線を皮切りに、常磐線、仙山線の各線に順次投入されて前述の急行形・近郊形電車が置き換えられた。また、2010(平成22)年に増備された5編成(P40~P44編成)はワンマン運転対応車として落成した。整理券発行機、運賃箱、出入口表示器、運賃表示器が設置され、701系2両編成と共通運用となっており、701系との併結運転も見られる。
2011(平成23)年3月11日に発生した東日本大震災においては、常磐線新地駅でP1・P19編成が被災し、津波により流された。この2編成は翌日付で廃車となっている。
また、2013(平成25)年には第3セクターの青い森鉄道において本系列をベースとした703系が登場している。
2016(平成28)年から前照灯のLED化が行われている。
2017(平成29)年3月改正から磐越西線の719系の大半を置き換えて同線ではワンマン運転を行うことになった。このため、非ワンマン車のうちP10〜18編成のワンマン対応改造が施工されている。
2020(令和2)年3月ダイヤ改正で磐越西線の快速列車の一部に指定席車を連結することになり、P12編成のクハE720-12の後位側がリクライニングシートに改装され、車体側面には識別のため鶴ヶ城の桜をイメージしたラッピングが施された。
2020(令和2)年4月には、P5編成が仙台空港線用に改造され、500番代の続番(編成番号P505)となった。
2020年5月現在、41編成82両が仙台に配置され、東北本線(新白河-一ノ関、岩切-利府)、常磐線(原ノ町-仙台間)、仙山線、磐越西線(郡山-喜多方)で使用されている。
500番代概説
2007(平成19)年3月18日に仙台空港へのアクセス路線として建設が進められていた仙台空港鉄道仙台空港アクセス線名取-仙台空港間が開業、同線はJR東日本東北本線と直通運転を行い、すべての列車が仙台-仙台空港間で運転されるため、直通運転用の車両が製造されることになった。このため2006(平成18)年に川崎重工と東急車輛で製造されたのがE721系500番代で、仙台空港鉄道(SAT)にはE721系と共通設計のSAT721系が製造された。まず、2005(平成17)年度に第1編成が川崎重工で製造され、翌年度に3本、合計2両編成4本の計8両が製造された。後に登場した0番代と異なり、空港アクセス用としてMc車の後位側に上下二段構造の大型荷物置場を設置、仙台空港線でのワンマン運転に対応しているが、同線は運賃収受を各駅で行うため、整理券発行機や出入口表示器は準備工事にとどまっている。
車体は0番代と同様であるが、カラーリングが異なり、JR東日本仙台支社のシンボル色である緑と空をイメージした青色とを組み合わせた帯となっている。仙台に配置され、2007(平成19)年3月18日の仙台空港線開業と同時に運転を開始、車両管理がJR東日本に移管されている仙台空港鉄道SAT721系と共通運用で仙台-仙台空港間で運用されている。
2020(令和2)年4月には上述の通り、0番代のP5編成から改造されたP505編成(形式番号は在来車の続番)が加わった。
1000番代概説
仙台地区で使用されている719系0番代を置き換えるため、2016(平成28)年から製造されたグループで、一ノ関方からMcTMT'cの4両固定編成となり、本系列では初めての中間電動車(モハE721形)と付随車(サハE721形)が誕生、各形式とも1000番代と区分された。4両固定編成とすることで0番代を2本併結した場合よりも定員が540名から574名と34名増加して混雑の緩和が図られている。
車体は0番代を基本としているが、前照灯がHIDからLEDに変更され、客室内の照明もすべてLEDとなった。座席については座り心地が改善されている。車体の飾り帯は0番代の赤色部分が沿線をイメージした「さくら色」に変更された。
2016年11月30日より東北本線で運転を開始、2017(平成29)年3月までに19編成76両が総合車両製作所(中間車は新津、先頭車は横浜)で製造されて、仙台車両センターに配置、東北本線、常磐線、仙山線で運用されている。