JR東日本において、国鉄時代に製造されたキハ40系 を置き換えるために導入された 電気式気動車。
　電気式気動車は、ディーゼル機関と発電機による電力で主電動機を駆動させて走行するもので、JR東日本としては新方式であり、電車の技術と メンテナンス方法を活用し、推進軸などの機械的駆動部分の減少、電車と共通部品の採用、駆動軸の多軸化などにより、輸送を安全・安定的に 行ってサービス向上に務めることが目的とされた。
　車両形式は機関発電、主電動機駆動という意味から「GV（Generating Vehicle）」を冠し、百の位は「気動車の100」、「ディーゼルハイブリッドの 200・300」に続く「400」としてGV-E400系となった。
　車両新造にあたり、国内外を対象に公募調達が行われた結果、川崎重工業が製造を担当し、2018（平成30）年1月に量産先行車として両運転台車GV-E400形、 片運転台車GV-E401形（便所付）、GV-E402形（便所なし）の3形式各1両が落成した。

車体

　車体幅2,800mm、車体長19,500mmの軽量ステンレス構体、片側2扉で、前頭部は踏切事故対策として強化され、側面からの衝撃に対しては 台枠横はり、側構体柱、屋根構体垂木の位置を合わせたリング構造として変形量抑制が図られている。
　デザインは力強さとシンプルさを兼ね備えたものとし、先頭部は大きなガラス面とエッジの立った面構成により金属の塊から削り出したような印象となっている。 量産先行車および量産車は新潟地区に投入されるため、カラーリングについては側面下部に新潟色（黄色と朱鷺ピンク色）をドットで表現してシンプルかつ先進性を 感じさせている。
　側窓は上部が内倒れ、下部は固定式で、ガラスは可視光線・日射熱線・紫外線の透過率が小さい緑色の強化ガラスで、紫外線を100％カットするIRカットガラス としてブラインドカーテンは省略されている。
　側引戸はドアチャイムを設けた半自動対応で、乗客が扉の開閉を確認できるように開閉表示灯が設けられている。
　客室内はセミクロスシートで、クロスシートは2＋1列の配置である。客室内全体を朱鷺ピンク色を基調として温かみを持たせ、腰掛は落ち着いた暖色系のものと なっている。優先席部は、壁面および袖仕切りを朱鷺ピンク色としたほか、腰掛表地、内張板、床敷物、吊手の色を一般部と異なるものとして明確化している。
　便所は車椅子対応大型便所で、向かいには車椅子スペースが設置されている。
　各車とも中央から前位寄りに機器室が設置されている。
　運転室は半室構造で、非貫通時には引戸により客室との間を助士側も含めて完全に仕切ることができ、貫通時には運転室側を引戸、助士側を開戸によって仕切る ことができる。ワンマン運転時に使用する運賃箱は助士側背面に収納されている。運転台の機器配置については、在来車を基本として電気式気動車特有の機器を 追設している。

主要機器

　主回路システムは、主発電機から得た電力を主変換装置で変換し、補助回路機器および主電動機へ電力を供給するシステムで、「機関始動モード」、 「定電圧制御モード」、「抑速制御モード」の3つのモードを有する。
　主発電機は開放形強制通風方式のDM115で、機関に直結駆動して発電を行う。ディーゼル機関はキハE120系・キハE130系のDMF15HZをベースとした DMF15HZD-G（450PS/2,000rpm）である。
　主変換装置はSiC素子を用いた2 レベルPWM方式のCI27を搭載しており、補助電源装置部とインバータ部で構成される。主電動機は動力台車に全閉形自己 通風方式の MT81を各車2台搭載している。ブレーキ方式は、電気指令式空気ブレーキ方式を採用している。最高運転速度は100㎞/h。電動空気圧縮機は スクロール式で潤滑油不要のオイルフリータイプを各車両に1台搭載している。保安装置は、ATS-PおよびATS-Psの機能を1台に集約した統合形ATS車上装置 （Ps形）となっている。
　冷房装置は屋根上に集中式のAU741（33 000 kcal/h）を1基搭載する。
　車両情報制御システムとして、運転状況記録装置機能付きのモニタ装置を搭載しており、基幹伝送は従来のARCNET方式からイーサネット方式に向上させている。 両運転台GV-E400形においては一方の運転台が破損した場合に備え、他方の運転台にもバックアップ用の運転状況記録装置を備える。

概況

　2019（令和元）年から量産車が落成し、同年8月19日から量産先行車とともに羽越本線（新津-鼠ケ関間）、磐越西線（馬下-新津間）で先行して営業運転を 開始、2020（令和2）年3月14日ダイヤ改正までにGV-E400形8両、GV-E401形・GV-E402形各16両の40両が新津に配置されて、羽越本線（新津-酒田間）、 信越本線（新津-新潟間）、米坂線、磐越西線（会津若松-新津間）で運転されるようになり、キハ40系を置き換えられるとともに、キハE120形は郡山に転属して 只見線用となった。
　さらに2020（令和2）年からは秋田地区用の新製が開始され、12月12日より五能線で営業運転を開始、2021（令和3）年3月13日ダイヤ改正では津軽線でも運用が開始される。