キハ100形0番代と同様に、JR東日本の地方非電化路線における老朽化した気動車を置き換え、サービス改善を図るため、開発された。
　キハ110形0番代は車体長19.5m、両運転台の急行タイプのもので、後述のとおりキハ100形0番代とは機関、液体変速機、台車等が異なる。
　まず、1990（平成2）年にキハ110-1～3の3両が量産先行車として新潟鐵工所と富士重工で製造され、同年3月改正に合わせて盛岡に配置されて釜石・山田線の急行「陸中」で運用を開始した。
　開発にあたっては、車体と機器の軽量化と電車並みの加速性能を有することで非電化路線のスピードアップを図り、全車冷房装置を搭載して旅客サービス向上を推進することが主眼とされた。
　車体は鋼製で、車体幅は2,800mm、車体長は前述のとおりであり、床面高さはレール面上1,175mmで、在来車よりも100mm程度低くなり、 ステップ高さが抑えられた。側出入口は片側2ヶ所で、スライド式のプラグドアが採用されて軽量化が図られた。戸閉装置は自動・半自動に対応し、 半自動時は押ボタンにより開閉する。側窓は複層ガラスによる固定窓で、吹き寄せと便所部分にもガラスを配して連窓のようになっている。 座席は背面テーブル付の回転式リクライニングシートである。定員52名。便所は和式のFRPユニット製となっている。 冷房装置は機関直結型のAU26J-Aを2基搭載している。車体塗色はベリーペールグリーンを基調として、ダークライムグリーンを配している。 量産先行車については登場時、先頭車の正面の左右が黒色に塗装されていたが、後に量産車に合わせてベリーペールグリーンに変更された。
　機関はDMF13HZA（新潟鐵工所製）またはDMF14HZA（カミンズ製）で、ともに420PS/2,000rpmである。液体変速機は充排油式の変速1段・ 直結1段方式のT211rz=西ドイツVOTIH社製）が採用されたが、量産化改造時に量産車と同様のDW14A-Bになった。制御はプログラマブルコントローラ（PC）が 採用され、信頼性の向上と保守の省力化が図られている。最高運転速度は100km/h。台車は軸距2,100mmのDT58、TR242となっている。ブレーキシステムは 電気指令式で、保安ブレーキとして直通ブレーキを、降雪時対応として耐雪ブレーキを装備している。また、キハ100形と異なり、モニタ装置が試用され、 機器の動作状態を監視して異常時の対応が行えるほか、放送設備や冷暖房などのサービス機器の指令が一括して行えるようになっている。
　1990（平成2）年度末に量産車として、キハ110-4・5が富士重工で製造されて盛岡に配置、本グループから側窓が複層ガラスから合わせガラスに変更され、 便所部分のダミー窓（連窓風のガラス）が廃止されたほか、側面運転席部分の小窓が押さえ金支持から、Hゴム支持となり、寸法も変更された。
　盛岡に配置され、盛岡-釜石間の快速「はまゆり」を中心に使用されている。