JR東日本の特急「はつかり」に使用されていた485系特急形交直流電車のうち非リニューアル車の置換えのため、1999・2000（平成11・12）年に東急車輛製造および近畿車輛で6両編成3本18両が製造された。同社初の交流（20kV／50Hz）専用特急形電車である。

編成は青森方6号車からクロハE751形（Tsc'）＋モハE751形（M1）＋モハE750形（M2）＋モハE751形100番代（M1）＋モハE750形100番代（M2）＋クハE751形（Tc）の4M2T。

車体はアルミダブルスキン構造で、常磐線用のE653系特急形交直流電車を基本としているが、耐雪性を考慮して前照灯と尾灯の位置を上げて、E653系の前照灯の位置に空気笛と電子警報器を蓋付きで格納している。また、寒冷地対策として暖房容量増大、断熱性向上が図られている。各車とも出入台は盛岡方の1ヵ所としている。

車体塗色は「みちのくの四季の彩り」をコンセプトに上部を「雪」、「りんごの花」、「白鳥」をイメージした白、窓上に「実り豊かな稲穂」、「光に輝く湖」をイメージした黄色帯、窓下には「澄んだ渓流」、「海」をイメージした青の帯を配し、下部は「祭りのエネルギー」、「山あいの紅葉」をイメージした朱色としている。

客室内は「華やぎと大自然の風光」をコンセプトとし、腰掛は回転リクライニングシートで配色は茶系統の座面スライド式、グリーン席は「桜霞」、普通席は「湖面の輝き」のイメージの柄としており、シートピッチはグリーン席が910㎜、普通席が1,160㎜。グリーン車も座席配列は2+2である。

パンタグラフはM車にシングルアーム式のPS107を1基搭載、冷房装置は屋根上にAU728（19,000kcal/h）を各車2基設置している。

主回路システムは3レベルPWMコンバータ・インバータ式主変換装置を使用したVVVFインバータ制御方式で、1C2M制御2組を各M車に搭載、使用素子はIGBTである。主電動機は三相誘導電動機MT72（145kW）、ブレーキ方式は回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ、最高運転速度は130km/hである。台車はE653系のものを基本として耐雪対策を行ったもので動力台車がDT64A、付随台車がTR249Aである。

A-101～A-103編成として青森に配置されて2000（平成12）年3月11日ダイヤ改正から盛岡-青森間の特急「スーパーはつかり」として営業運転を開始した。将来は485系を完全に置き換えて青函トンネル通過対応機器を搭載して 函館まで乗り入れる計画もあったが、3編成の製造にとどまり、本州内での運用となった。

東北新幹線盛岡-八戸間が開業した2002（平成14）年12月1日ダイヤ改正で八戸-青森・弘前間の特急「つがる」として運用されるようになった。

2006（平成18）年11・12月に雪害対策工事としてスノウブラウ形状変更、床下機器に保護板取付などが行われた。 東北新幹線八戸-新青森間が開業した2010（平成22）年12月4日ダイヤ改正で特急「つがる」は秋田-青森間の列車となり、当初は485系3000番代が使用されたが、本系列については2011（平成23）年春までに2・3号車を抜いて編成ごと方向転換して4両編成化の上で「つがる」に充当されるようになった。編成から外れた0番代のモハユニット6両については2015（平成27）年11月に廃車となった。

組織改編により2016（平成28）年3月に青森から秋田に転属し、引き続き特急「つがる」に使用されているが、2024（令和6）年3月16日ダイヤ改正で速達タイプの列車名称が「スーパーつがる」となった。