国鉄の分割・民営化を目前に控えた1986（昭和61）年度に、高松近郊の電化開業用として121系近郊形直流電車が製造され、JR四国に承継されて活躍していたが、製造から約30年が経過し、さらなるサービス向上を目的として、2016（平成28）年より大幅なリニューアル改造を行うことになった。改造にあたり、7000系近郊形直流電車と併結運転を行うことを前提として最高運転速度、曲線通過速度、力行、ブレーキ性能については7000系と同等とし、形式も7200系としてMc車を7200形、Tc'車を7300形とすることになった。全編成改造対象となり、クモハ121-1〜19が7201〜7219、クハ120-1〜19が7301〜7319となった。

車体・客室

　客室内は先にワンマン化改造されていた121系第1・第2編成と同様にボックス席を一部撤去してロングシート化して7000形に準じた千鳥配置とし、1位側の側出入口後部の座席が撤去されて車椅子スペースとなった。また、腰掛モケットの張替え（バケットタイプ化）、袖仕切り板新設、吊り手の増設も行われている。側窓は上部が内側に開くタイプに変更された。
　車体の飾り帯は、窓上が赤色、窓下が赤、白、ライムグリーンを組み合わせたものに変更され、「eco7200 series train」のロゴが追加された。前面の行先表示器はLED化され、下部には第1・第2編成と同様にスカート（排障器）が追加されている。前照灯は改造途中からLED式に変更され、その後全編成に適用された。冷房装置はAU79A、屋根上の通風器は撤去されている。
　ワンマン対応とするため、運転台のスイッチ類のほか、運賃箱、運賃表示器、整理券発行機が設置されたほか、妻側に次駅表示のための案内表示器が設けられた。車体には両端側出入口横の戸袋窓に出入口表示器を設置、121系時代に扉間の中央部の窓横に設置されていた車外スピーカーは更新された。ただし、一部編成については非ワンマンのまま出場しており、運転台後部の2人掛けロングシートは両側ともに存置されていたが、2020（令和2）年3月までに全編成がワンマン対応となった。

主回路装置および機器

　主制御器は抵抗制御から8600系に採用されたものに準じたIGBT素子を使用したVVVF制御（東洋電機製S-CS63A）に変更、Mc車の主電動機4台を4群個別制御する1C1M構成である。補助電源装置（SIV）はS-SIV150（150kVA）、パンタグラフはS-PS58をMc車に搭載する。主電動機は140kWのかご形三相誘導電動機S-MT64で、全閉外扇構造により塵埃の侵入を防止し、保守の軽減が図られている。ブレーキシステムは回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキである。
　台車は川崎重工業製で、側バリとコイルバネの機能を航空機で採用されているCFRP（炭素繊維強化プラスチック）製のバネに集約して軽量化と安全性向上を図った｢efWING」空気バネ式ボルスタレス台車（Mc車はS-DT67ef、Tc'車はS-TR67ef）に変更された。板バネと車輪部分には川重のモーターサイクル製品のイメージカラーであるライムグリーンの彩色が施されている。
　そのほか、Tc'車の電気連結器は2段式に変更された。

概況

　2016（平成28）年3月に最初のリニューアル編成であるR03編成（7203＋7303、元クモハ121-3＋クハ120-3）が多度津工場を出場し、同年6月13日から営業運転を開始した。2019（平成31）年2月までに全編成が多度津工場で改造を終えてR01〜R19編成が揃い、121系は消滅した。
　高松運転所に配置され、高松-伊予西条・琴平間で運転されている。