E231系一般形直流電車|1000番代(近郊タイプ)
概説
2000(平成12)年から製造された近郊形タイプのグループで、まず小山電車区(後の小山車両センター)に配置されていた115系を置き換えるために投入された。投入当初の編成は10号車からTcTMM'TTTMM'T'cの基本10両編成と、15号車からTcTMM'T'cの付属5両編成であった。
基本的には通勤タイプに準じているが、踏切事故対策としてE217系と同様に衝撃吸収構造が採用された。これに伴い乗務員室の奥行きはサバイバルゾーンを設けるため通勤形の1,860mmから2,300mmに拡大、運転席の床面高さは335mmから520mmにかさ上げされた。また、遠方からの視認性確保のため前照灯はHID方式となっている。寒冷地仕様で、側扉は押しボタン式による半自動扱いに対応、客室内は基本編成の1・2号車と付属編成の14・15号車がセミクロスシート(クロスシートのシートピッチは1,500mm)となり、一部車両(6・10・11号車)には便所が設置された。
VVVFインバータ装置はSC59Aとなり、補助電源装置(SIV)は210kVAのSC66となっている。また、走行線区の特性に合わせて抑速ブレーキが追加されている。
番代区分については、1000番代を基本としてセミクロスシート車は+2000、衝撃吸収構造車(先頭車)と便所付の中間普通車は+5000、電動車でユニット相手の座席形態が異なる場合は+500、便所付のクハE231形は+500となっている。
E231系1000番代グループは当初、東急車輛と川崎重工で製造され、2000(平成12)年6月21日から宇都宮線で運転を開始した。2001(平成13)9月1日からは高崎線系統でも運転を開始、同年12月1日の湘南新宿ラインが運転開始により東海道線、横須賀線にも運用を拡大、2004(平成16)年10月までに小山の115系を置き換えた。
一方、東海道線では国府津車両センターに113系が配置されており、こちらについても2004(平成16)年から本グループにより置き換えることになった。東海道線用は2003(平成15)年から製造されたが、このグループからは冷房装置をAU725Aから能力を増大したAU726Aに変更、VVVFインバータ装置はSC77に、SIVはSC75・SC76に、車体には車外スピーカ準備工事がなされ、運転台計器盤についても変更されるなど一部仕様が異なっている。また、基本編成は2階建てグリーン車2両(サロE230・231形1000番代)を連結することから組成が10号車(東京方)からTcMM'TTTsdzT'sdMM'T'cと変更され、7・6号車は湘南新宿ラインに使用される小山所属車にグリーン車を組み込んで捻出されるT車を転属させて組み込んだ。また、9・10号車についてもセミクロスシート車に変更、10・9・8号車が新区分番代(クハE231形8500番代、モハE231形3500番代、モハE230形1500番代)となった。国府津配置車は暫定的に宇都宮線・高崎線で運用された後、2004(平成16)年10月16日から東海道線系統および湘南新宿ラインでの運用が開始された。2005(平成17)年度からグリーン車を除きJR東日本新津車両製作所でも製造されるようになり、2006(平成18)年3月までに国府津車両センターの113系を置き換えた。
さらに2006(平成18)年度には小山に再び新製配置(基本編成8本、付属編成7本)が行われ、この車両は従来の小山配置車と同一の組成であるが、2003(平成15)年度以降の増備車と同様の仕様変更車となっている。そして上野発着の宇都宮線、高崎線のすべての中距離列車にグリーン車の組込みが決定し、2004・2005(平成16・17)年にすべての基本編成に2階建てグリーン車2両が組み込まれた。
2008(平成20)年までに先頭車のスカートが改良形に取り替えられたが、2006(平成18)年に増備されて小山に配置された車両は当初から改良形スカートを装備している。
小山車両センターに基本編成10両編成49本、付属編成5両編成35本の計665両、国府津車両センターに基本編成10両編成42本、付属編成5両編成34本の計590両が配置されている。
2015(平成27)年より小山配置車を皮切りに機器更新が開始され、制御装置はSC114に、SIVはSC114に変更されている。
モハE231-1001~1069
VVVFインバータ制御装置(SC59A
)とパンタグラフ(PS33B)を搭載するロングシートの中間電動車(M)で、本グループは2000〜03(平成12〜15)年に製造されたもので、小山に所属する。基本編成(U501〜541)8号車と、付属編成(U2〜20偶数、31〜39奇数、45、51〜57奇数、58・60・61・63・64・66・67・69)13号車に連結され、モハE230形1000番代とユニットを組む。主電動機はMT73(95kW)。冷房装置はAU725A(42,000kcal/h)。台車はDT61G。定員162(座席54)名。ロングシート車は扉間の窓のピラー(縦桟)が1本となっている。写真は東急車輌製。
モハE231-1025(宮ヤマ)
2000.12新製
2014年4月6日 宇都宮駅にて
1・3位側を示す。
モハE231-1004(宮ヤマ)
2000.3新製
2014年11月14日 尾久駅にて
モハE231-1070~1118
2004〜07(平成16〜19)年に増備されたグループで、国府津・小山(U105〜115奇数・118編成)の付属編成13号車と小山のU584〜591編成の基本編成8号車に連結される。VVVFインバータ制御装置がSC77に、冷房装置が50,000kcal/hに能力向上を図ったAU726Aに変更、
車外スピーカ準備工事がなされている。このほか腰掛はばね内蔵により弾力性をもたせたほか、側窓は1069まではUVカットの熱線吸収ガラスであったが、赤外線カット、紫外線完全カットの熱線吸収ガラスに変更された。
モハE231-1074(横コツ)
2004.6新製
2012年9月2日 高崎車両センター籠原派出にて
モハE231-1501~1541
VVVFインバータ制御装置(SC59A
)とパンタグラフ(PS33B)を搭載するロングシートの中間電動車(M)で、基本編成3号車に連結されてセミクロスシート車のモハE230形3500番代とユニットを組むため、1500番代に区分されているが、モハE231形1000番代と基本構造は同一である。本グループは2000〜03(平成12〜15)年に製造されたもので、小山に所属しており、U501〜541編成に連結される。冷房装置はAU725A(42,000kcal/h)。台車はDT61G。定員162(座席54)名。写真は東急車輌製。
モハE231-1501(宮ヤマ)
2000.3新製
2015年4月5日 宇都宮駅にて
モハE231-1542~1591
2004〜07(平成16〜19)年に増備されたグループで、仕様変更内容はモハE231-1070~1118に準ずる。国府津所属の全基本編成と小山のU584〜591編成の3号車に連結される。
モハE231-1571(横コツ)
2005.9新製
2016年6月25日 籠原駅にて
モハE231-3501~3542
国府津電車区(現国府津車両センター)へ投入されたE231系は、基本編成9号車もセミクロスシート車に変更された。ユニット相手はロングシート車(モハE230形1500番代)であるため、新たに3500番代が誕生し、モハE231形では本グループのみがセミクロスシートとなっている。したがって、このタイプは2004〜07(平成16〜19)年に増備されたグループで、国府津にのみ配置される。セミクロスシート車は、E217系と同様にクロスシートの配置に合わせて窓の縦桟が2本となっている。定員は162(座席60)名。その他の仕様はモハE231-1070〜1118に準ずる。
モハE231-3524(横コツ)
2005.6新製
2015年4月5日 井野駅にて
モハE230-1001~1069
モハE231形1000番代とユニットを組むロングシートの中間電動車(M')で、本グループは2000〜03(平成12〜15)年に製造されたもので、SC66形補助電源装置(SIV)およびCPを搭載する。小山に所属し、基本編成(U501〜541)7号車と付属編成U2〜20偶数、31〜39奇数、45、51〜57奇数、58・60・61・63・64・66・67・69)12号車に連結される。主電動機はMT73(95kW)。冷房装置はAU725A(42,000kcal/h)。台車はDT61G。定員162(座席54)名。写真は東急車輌製。4・2位側を示す。
モハE230-1036(宮ヤマ)
2001.6新製
2015年4月5日 小金井駅にて
写真は1・3位側を示す。
209系からE233系にいたるJR東日本のステンレス一般形車両では、製造メーカーによる車体構造の違いがある。東急、新津製が骨組構造であるのに対し、川重製は同社独自の2シート工法を採用している。写真は川崎重工製で、妻面にビードがある点が目立つほか、雨樋、幕板部の構造、側扉の押ボタンの位置などに差異が見られ、車体断面の屋根方向への立ち上がりがほぼ垂直方向となっている。
モハE230-1008(宮ヤマ)
2000.5新製
2009年12月26日 尾久駅にて
モハE230-1070~1118
2004〜07(平成16〜19)年に増備されたグループで、国府津・小山(U105〜115奇数・118編成)の付属編成12号車と小山のU584〜591編成の基本編成7号車に連結され、モハE231-1070〜1118とユニットを組む。SIVがSC75(東芝製)またはSC76(富士電機製)
に、冷房装置がAU726Aに変更、 車外スピーカ準備工事がなされている。写真は東急車輌製、SIVはSC75を装備している。
モハE230-1074(横コツ)
2004.6新製
2012年9月2日 高崎車両センター籠原派出にて
モハE230-1501~1542
国府津電車区(現国府津車両センター)へ投入されたE231系は、基本編成9号車もセミクロスシート車に変更された。よってユニットを組むモハE230形はロングシート車であるため、新たに1500番代に区分された。このタイプは2004〜07(平成16〜19)年に増備されたグループで、国府津にのみ配置される。定員は162(座席54)名。その他の仕様はモハE230-1070〜1118に準ずる。写真は東急車輌製、SIVはSC75を装備している。写真は3・1位側を示す。
モハE230-1519(横コツ)
2004.10新製
2016年7月17日 籠原駅にて
モハE230-3501~3540
モハE231形1500番代とユニットを組むセミクロスシートの中間電動車で、モハE230-1001〜1069をセミクロスシートにした構造で、外観上は窓割りからセミクロスシート仕様であるとわかる。本グループは2000〜03(平成12〜15)年に製造されたもので、SIVはSC66である。小山に所属し、基本編成(U501〜541)2号車に連結される。定員162(座席60)名。
モハE230-3501(宮ヤマ)
2001.6新製
2015年4月5日 宇都宮駅にて
モハE230-3541~3591
2004〜07(平成16〜19)年に増備されたグループで、国府津・小山(U584〜591編成)の基本編成2号車に連結され、モハE231-1541〜1591とユニットを組む。SIVがSC75(東芝製)またはSC76(富士電機製)
に、冷房装置がAU726Aに変更、 車外スピーカ準備工事がなされている。写真は東急車輌製、SIVはSC75を装備している。
モハE230-3589(横コツ)
2006.5新製
2016年4月2日 宇都宮駅にて
クハE231-6001~6041
小山所属の基本編成(U501〜541)10号車に連結されるロングシートの制御車(Tc)で、本グループは2000〜03(平成12〜15)年に製造された。運転室の衝撃吸収構造採用により0番代に比べて奥行きが延長されたため、運転席側に開閉窓、助士席側に固定窓が設けられている。自動解結装置、密着連結器付き。定員143(座席39)名。台車は前位がTR246M、後位がTR264Pとなっている。
クハE231-6015(宮ヤマ)
2000.12新製
2014年4月6日 宇都宮駅にて
クハE231-6042~6049
小山所属の基本編成10号車に連結されるロングシートの制御車(Tc)のうち、2004〜07(平成16〜19)年に増備されたU584〜591編成の10号車は冷房装置がAU726Aに変更、
車外スピーカ準備工事がなされている。本グループは東急車輌製のみ。
クハE231-6049(宮ヤマ)
2000.3新製
2012年9月2日 久喜駅にて
クハE231-8001~8028
小山所属の付属編成(U2〜20偶数、31〜39奇数、45、51〜57奇数、58・60・61・63・64・66・67・69)の15号車に連結されるセミクロスシートの制御車。本グループは2000〜03(平成12〜15)年に製造された。クハE231-6001〜6041をセミクロスシートとした構造で、自動解結装置、密着連結器付き。定員143(座席39)名。
クハE231-8002(宮ヤマ)
2006.6新製
2016年9月3日 高崎車両センター籠原派出にて
1・3位側を示す。助士席側の窓は固定式である。
クハE231-8015(宮ヤマ)
2001.6新製
2015年4月5日 籠原駅にて
クハE231-8029~8069
2004〜07(平成16〜19)年に増備されたグループで、冷房装置はAU726Aに変更、
車外スピーカ準備工事がなされている。国府津所属の付属全編成と小山の付属編成のうちU105〜115(奇数)・118編成の15号車に連結される。
クハE231-8066(宮ヤマ)
2006.4製
2012年9月8日 高崎車両センター籠原派出にて
クハE231-8501~8542
国府津所属の基本編成10号車に連結されるセミクロスシートの制御車。2004〜07(平成16〜19)年に増備されたグループである。冷房装置がAU726Aに変更、
車外スピーカ準備工事がなされている。4位側に車椅子対応の便所を設置しており、定員143(座席39)名。
クハE231-8526(横コツ)
2005.7新製
2016年6月25日 籠原駅にて
クハE230-6001~6028
付属編成11号車に連結されるロングシートの制御車。本グループは2000〜03(平成12〜15)年に製造され、小山に所属する。4位側に車椅子対応の便所を設置しており、定員138(座席36)名。
クハE230-6002(宮ヤマ)
2000.3新製
2012年9月2日 高崎車両センター籠原派出にて
クハE230-6029~6069
2004〜07(平成16〜19)年に増備されたグループで、国府津所属のすべての付属編成と小山所属の付属編成のうちU105〜115(奇数)・118の11号車に連結される。冷房装置がAU726Aに変更され、
車外スピーカ準備工事がなされている。定員143(座席39)名。写真はスカート取替前のオリジナルの形態を示す。
クハE230-6049(横コツ)
2004.11新製
2007年2月17日 籠原駅にて
クハE230-8001~8041
基本編成1号車に連結されるセミクロスシートの制御車。本グループは2000〜03(平成12〜15)年に製造され、小山に所属する。4位側に車椅子対応の便所を設置しており、定員138(座席44)名。
クハE230-8001(宮ヤマ)
2000.3新製
2008年10月11日 籠原駅にて
クハE230-8042~8091
2004〜07(平成16〜19)年に増備されたグループで、国府津所属のすべての基本編成および小山所属の基本U584〜591編成の1号車に連結される。
クハE230-8089(宮ヤマ)
2006.5新製
2016年4月2日 宇都宮駅にて
サロE231-1001~1091
東海道線へのE231系投入に伴って2004〜06(平成16〜18)年に製造された2階建てグリーン車。サロE230形とペアで使用され、5号車に連結される。本形式には3位側に洗面所、4位側に洋式便所が設置されている。E217系のサロE217形を基本としているが、床面高さが普通車に合わせて1,165mmに、側引戸が90mm拡大されて810mm幅に変更された。冷房装置はダクト構成が変更されて、平屋・階下・2階の個別制御が可能で、AU729(20,000kcal/h)が両端の屋根上に1基ずつ搭載されている。台車はヨーダンパ付のTR246T。客室内は特急形電車の普通車をベースとした回転リクライニングシートが配置され、各座席の上部にはグリーン車SuicaシステムのR/W(リーダライタ)が設置されている。定員は平屋20、階下34、2階36名の計90名。
写真は川重製の1・3位側を示す。
サロE231-1037(宮ヤマ)
2005.6新製
2010年10月24日 籠原駅にて
2011(平成23)年頃からグリーン車各車のヨーダンパが撤去されている。
写真は東急製の4・2位側を示す。
サロE231-1014(宮ヤマ)
2004.6新製
2011年7月3日 宇都宮駅にて
サロE230-1001~1091
サロE231形とペア組んで使用される2階建てグリーン車で、本形式には1位側に業務用室、2位側に乗務員室が設置されている。定員はサロE231形と同様である。写真は川重製の3・1位側を示す。
サロE230-1037(宮ヤマ)
2005.6新製
2007年9月2日 籠原駅にて
2011(平成23)年頃からヨーダンパが撤去された。写真は東急製の2・4位側を示す。
サロE230-1020(宮ヤマ)
2004.9新製
2013年3月24日 宇都宮駅にて
サハE231-1001~1123
ロングシートの付随車。本グループは2000〜03(平成12〜15)年に製造され、当初はすべて小山に配置されたが、グリーン車の組込に際して捻出された車両が国府津に転属した。このため、小山所属の基本編成(U501〜541)の9号車と、国府津所属のK-02〜42編成の6・7号車に連結されている。台車はTR246N、定員162(座席54)名。写真は川重製の2・4位側を示す。
サハE231-1115(宮ヤマ)
2002.11新製
2015年11月22日 小金井駅にて
サハE231-1124~1133
2004〜07(平成16〜19)年に増備されたグループで、冷房装置がAU726Aに変更、
車外スピーカ準備工事がなされている。国府津のK-01編成の6・7号車と小山のU584~591編成の9号車に連結される。本グループは全車東急車輌製。
サハE231-1129(宮ヤマ)
2006.4製
2016年7月17日 久喜駅にて
サハE231-3001~3028
セミクロスシートの付随車で、本グループは2000〜03(平成12〜15)年に製造された。小山所属の付属編成のうちU2〜20偶数、U31〜39奇数、51〜57奇数、58・60・61・63・64・66・67・69編成の14号車に連結される。定員は162(座席60)名。その他の仕様はサハE231-1001〜に準ずる。
サハE231-3002(宮ヤマ)
2006.6製
2012年9月2日 高崎車両センター籠原派出にて
サハE231-3029~3069
2004〜07(平成16〜19)年に増備されたグループで、冷房装置がAU726Aに変更、
車外スピーカ準備工事がなされている。国府津所属のすべての付属編成と小山の付属編成U105〜115(奇数)・118編成の14号車に連結される。
サハE231-3036(横コツ)
2004.6製
2012年12月2日 高崎車両センター籠原派出にて
サハE231-6001~6041
小山所属の基本編成6号車に連結される付随車で、3位側に便所が設置されている。本グループは2000〜03(平成12〜15)年に製造された。定員158(座席50)名。写真は川重製。
サハE231-6004(宮ヤマ)
2000.5製
2010年10月24日 籠原駅にて
サハE231-6042~6049
2004〜07(平成16〜19)年に増備されたグループで、冷房装置がAU726Aに変更、 車外スピーカ準備工事がなされているほか、便所は洋式に変更された。小山所属の基本編成U584~591の6号車に連結される。本グループは東急車輌製のみ。