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315系通勤形直流電車


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概説

JR東海において、民営化前後に製造された近郊形直流電車211系、213系、311系を置き換えるため、2021(令和3)年から日本車輌製造で製造が開始された。
 日車の新ブランドである「N-QUALIS」で製作された最初の車両である。「N-QUALIS」は、「安全」、「品質」、「保守」の3つを軸として、構体は構造部材を効率よく配置して強度向上を図り、表面平滑化、高い水密性、切粉の排除、シール箇所の大幅削減を図るものである。
 エクステリアデザインは、「先進性×親近感」をコンセプトとし、「先進性」としては直線を使用した幾何学的な前面形状に高輝度LEDの前照灯を配置した新しい顔(前面デザイン)を採用、「親近感」としては、長く親しまれているコーポレートカラーのオレンジとホワイトとを調和させた配色としている。
 インテリアデザインは「優しく安心感のある快適な移動空間」をコンセプトとしている。「優しく」という点では、バリアフリー設備の充実を図っている。具体的には全車両に車椅子スペースを設置、編成1ヵ所に設けた便所は車椅子対応とし、優先席の床面、腰掛、吊手、握り棒は一般席と別色としてスペースを明確化、車両床面とホームの段差を縮小、カラーユニバーサルデザインに対応したフルカラー液晶の車内表示器を設置している。また、「安心感」としては、セキュリティの強化を図ることとして、車内防犯カメラを1両に5ヵ所設置 、LTEにより車内防犯カメラの録画画像およびリアルタイム画像を伝送できるようにして、異常時において迅速な対応が可能となっている。また、緊急時に乗務員と直接通話ができる非常通話装置を1両に3ヵ所設置している。「快適な客室空間の提供」としては、冷房能力を211系比の約3割向上させ、国内初となる、AIによる自動学習・制御最適化機能を備えた冷房装置を搭載している。これは、乗務員が手動補正した時点の各種データ(車内温度・外気温・湿度・乗車率等)をAIが自動学習することで、最適化した冷房制御パラメータを作成するもので、このパラメータを元に空調をきめ細やかに制御し、快適な車内環境を維持する。 
 座席は211系に対し1人あたりの幅を10mm拡大、腰への負担が少ない座席形状や座席端部の袖仕切りの大型化により、座り心地を向上している。このほか、天井を高くして床面から腰掛、天井に向けて色味を明るくするグラデーションにより空間の広がりで開放感を出し、赤外線・紫外線を99%カットする遮熱・遮光ガラスの採用によりブラインドを不要としている。
 主要機器としては、VVVFインバータ装置の素子に高効率素子(SiC素子)を採用することで、211系と比較して約35%の電力消費量低減を実現している。
 台車はHC85系と同様に、日車とJR東海が共同開発した「N-QUALIS」シリーズの安全性向上台車「NS台車」を採用、台車枠構造は、側ばり及び横ばりを各々一体プレス加工とすることで溶接ビード長を削減、安全性と保守性を向上している。台車枠の溶接箇所を313系に対して6割削減して信頼性を向上、タンデム式軸箱支持形式を採用することで、軸ばねの硬さを最適化することにより、乗り心地を向上させている。
 2022(令和4)年夏以降は非常走行用蓄電装置を搭載予定で、これは、自然災害発生時などによる長時間の停電時においても、大容量のリチウムイオン電池により駆動システムを稼働することができるものである。これにより、万一停電が発生した際に橋梁やトンネル内で停止した場合でも、架線からの電力供給を必要とせず、安全な場所まで自力走行での移動、あるいは車内の空調装置の動作が可能となっている。
 状態監視技術としては、キハ25形、HC85系に搭載されてきた振動検知装置を搭載、台車等の異常を早期に検知し重大事故を防止するとともに、脱線・衝突・転覆を早期に検知して事故による被害拡大を防止する。また、315系では、振動検知装置で取得する振動データをはじめ、車両の各種機器の動作状態や故障記録を高頻度で車両基地に送信する機能を有し、車両不具合時の早期対応に加えて、故障の未然防止や車両検修の省力化などに活用している。
 このほか、安定性の向上として、ATS-PT、運転士側のワイパ、電動機、空気圧縮機の2重系化が図られている。
 先頭部スカートは排障機能を向上した形状としている。また、電気駆動式ドアシステムでは、運転台からの指令による開閉機能やモータ制御式により荷物等が挟まると自動で戸閉力を弱める機構に加え、ドア開閉速度を検知することで、戸挟み検知精度を向上させている。
 まず2021・22(令和3・4)年に7編成56両が製造されて神領車両区に配置、2022(令和4)年3月5日より中央本線名古屋-中津川間で営業運転を開始した。

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