183系特急形直流電車｜1000番代

概説

　上越線の特急「とき」に使用されていた181系は老朽化しており、1973・74（昭和48・49）年の豪雪で故障が多発して問題となった。上越新幹線の開業まで181系のみで運行するのは困難であると判断し、1974（昭和49）年から急遽新製された耐寒・耐雪構造車が1000番代グループである。機器配置の見直し、凍結防止対策がなされ、Tc車には雪切室を設置、非貫通形となっている。181系と異なり、食堂車は存在しない。1975（昭和50）年には田町区の157系置換用として183系1000番代が新製され、季節特急の「白根」および「あまぎ」に使用された。一方、新潟運転所の183系1000番代は上越新幹線大宮暫定開業時の「とき」廃止に伴い、幕張と長野に転属した。房総特急へ転用されたTc車はATC取付け改造が行われている。田町区の車両は、153系置換用185系の登場後も185系と共に運用され、1981（昭和56）年に「あまぎ」と「伊豆」を統合した特急「踊り子」として1985（昭和60）年まで運転された。
　民営化後はJR東日本に承継され、長野、松本、幕張に配置されて引き続き特急列車に使用されたが、後継車の登場により、次第に定期運用を減らし、新前橋（後に高崎）、田町などへの波動用としての配置も見られたが、残っていた車両も2015（平成27）年までに廃車となった。

モハ183-1001～1058

0番代と異なり、パンタグラフを搭載しない。AU13EN形冷房装置を5基搭載、台車はDT32I、定員は68名。
モハ183-1001（長モト）
1974.12新製→1995.12廃車
1990年5月4日　甲府駅にて

モハ183形1000番代（グレードアップ車）

1978（昭和53）年に製造された1039以降は各形式ともブレーキ制御装置の形状が変更され、床下の機器配置にも変更が生じている。写真は「あずさ」用グレードアップ改造車で、1987～90（昭和62～平成2）年にかけて1002・1012・1019・1026・1028・1031・1032・1037・1039・1042・1045・1049・1052・1054・1055・1057の16両が改造された。写真は1032とともに最後まで残っていた車両であったが、2015（平成27）年に廃車となり、区分消滅した。
モハ183-1054（長ナノ）
1978.8新製→2015.4廃車
2014年8月9日　甲府駅にて

モハ182-1001～1058

モハ183-1001～とユニットを組むM'車で、PS16J形パンタグラフを2基搭載。冷房装置はAU71A（1039～はAU71B）。台車はDT32I、定員68名。
モハ182-1001（長モト）
1974.12新製→1995.12廃車
1990年5月4日　甲府駅にて

写真は旧「あずさ」色で幕張に所属して波動用として使用されているもので、後位側パンタグラフが撤去されている。
モハ182-1015（千マリ）
1975.9新製→2013.12廃車
2008年6月21日　成田駅にて

モハ182形1000番代（グレードアップ車）

1978（昭和53）年に製造された1039以降は冷房装置がAU71AからAU71Bに変更され、ランボードの側面が塞がれる形状となった。写真は「あずさ」用グレードアップ改造車で、1987～90（昭和62～平成2）年にかけて1002・1012・1019・1026・1028・1031・1032・1037・1039・1042・1045・1049・1052・1054・1055・1057の16両が改造された。最後まで残っていた1032と1054が2015（平成27）年に廃車となり、モハ182形1000番代は区分消滅した。
モハ182-1042（宮オオ）
1978.5新製→2014.1廃車
2008年4月26日　安食駅にて

クハ183-1001～1032

183系1000番代のTc車で、前面は非貫通。210kVAのMGとCPを床下に搭載、定員56名。2013（平成25）年までに区分消滅。
クハ183-1023（南チタ）
1975.12新製→2013.9廃車
1985年2月10日　東京駅にて

クハ183形1000番代（グレードアップ改造車）

「あずさ」用グレードアップ改造車で、本グループからは1987・88（昭和62・63）年にかけて1001・1009・1011・1023の4両が改造された。前面の特急マークはグレードアップ改造時に撤去されている。
クハ183-1011（千マリ）
1975.9新製→1987.12グレードアップ改造→2008.9廃車
2006年6月3日　佐倉駅にて

クハ183形1501～1506

クハ183-1000番代を基本としてATC機器を搭載した車両で、「とき」の廃止に伴う房総特急への転用に伴い、先行増備車として新製された。ATC機器搭載に伴い、2位側（写真反対側）の窓配置が1001～とは異なっている。定員は2名減り、54名となっている。 2013（平成25）年までにこのグループは消滅した。
クハ183-1503（千マリ）
1982.9新製→2004.10廃車
1989年4月22日　木更津駅にて

写真はATC機器室がある2・4位側を示す。
クハ183-1505（宮オオ） 　
1982.10新製→2013.11廃車
2008年7月27日　安食駅にて

クハ183-1525～1532

クハ183-1000番代にATC取付け改造を行ったもので、車番は原番号+500となっている。2位側にATC機器室を新設、外観上も1501～1506とほぼ同一となり、定員も54名となっている。
クハ183-1531（千マリ）
クハ183-1031　1978.8新製→クハ183-1531　1982.8改造→2004.10廃車
1989年4月22日　木更津駅にて

写真はATC機器室がある2・4位側を示す。
クハ183-1529（宮オオ） 　
クハ183-1029　1978.7新製→クハ183-1529　1982.6改造→2014.1廃車
2008年4月26日　安食駅にて

クハ183-1527・1528の2両は前面飾り帯の位置が低い異端車である。
クハ183-1527（長ナノ）
クハ183-1027　1978.6新製→クハ183-1527　1982.6改造→2015.3廃車
2014年8月9日　甲府駅にて

クハ183-1528も上述の通り前面飾り帯の位置が低い異端車で、写真のように特急シンボルマークなし、旧「あさま色」となっていたが、2012（平成24）年に国鉄特急色に戻されてシンボルマークも復活した。写真の1528は1525とともに最後まで残っていたが、2015（平成28）年に廃車となり、クハ183形1500番代および183系1000番代グループはすべて消滅した。
クハ183-1528（長ナノ）
クハ183-1028　1978.6新製→クハ183-1528　1982.6改造→2015.5廃車
2008年6月21日　安食駅にて

サロ183-1001～1010

183系1000番代のグリーン車で、サロ183-1～と同様に車掌室、車販準備室が設置されている。1003、1006、1007、1009、1002がサロ110-1301～1305に、1005がサロ189-1505に、1008がクロ484-2に改造された。1997（平成9）年までに区分消滅。
サロ183-1008（長モト）
1976.1新製→クロ484-2　1991.3改造
1990年2月24日　長野工場にて

サロ183-1101～1117

183系1000番代のグリーン車で、MG、CPを搭載している他はサロ183-1001～と同様となっている。
サロ183-1101（長モト）
1974.12新製→1996.12廃車
1989年8月20日　新宿駅にて

サロ183形1100番代（グレードアップ改造車）

「あずさ」用グレードアップ改造車で、本グループからは1987～90（昭和62～平成2）年にかけて1102・1103・1108・1109・1110・1113・1114・1115の8両が改造された。写真の1115は最後まで残った1両であったが、2008（平成20）年に廃車となり、サロ183形1100番代は区分消滅した。
サロ183-1115（千マリ）
1978.6新製→1987.12グレードアップ改造→2008.9廃車
2006年6月3日　佐倉駅にて

2・4位側を示す。
サロ183-1115（千マリ）
1978.6新製→1987.12グレードアップ改造→2008.9廃車
2008年6月21日　成田駅にて