JR貨物では、非電化区間の貨物列車けん引および貨物駅構内の入換作業に使用しているDE10形・DE11形液体式ディーゼル機関車について、老朽化のため置換用の機関車を新たに開発することになった。こうして誕生したのがDD200形式電気式ディーゼル機関車で、川崎重工業で製造された試作機901号機が2017（平成29）年6月に落成して新鶴見に配置された。
　DE10形相当の走行性能として、軸重も低く抑え、DE10形でしか入線できない線区への入線も可能とするとともに、本線運転および入換作業の双方に使用こととしている。2012（平成24）年から導入された入換用のHD300形はディーゼル機関と大容量蓄電池によるハイブリッドシステムが採用されたが、蓄電池を搭載すると重量が増えることから本形式では電気式が採用された。技術的には、民営化後に導入された新形式機関車（DF200形ディーゼル機関車、EF210形直流電気機関車等）の新型電気機関車で開発してきた技術を応用して性能の確保と信頼性の向上を図っている。また既存の新形式機関車と装置の標準化により、メンテナンスコストの低減および修繕部品の安定供給確保を図っている。
　車体構造はDE10形と同様の前後非対称で横向きに運転台を配置したセミ・センターキャブで、運転台は入換作業を考慮してキャブの前後に横向きに2ヵ所配置、機器類の配置はHD300形に準ずる。入換時に誘導を行う操車担当の作業性向上のため、車端にデッキスペースを確保しており、車体1エンド側には発電用機関および主発電機、主電動機送風機、熱交換器をボンネット構造で搭載し、2エンド側には補助電源装置および主変換装置をモジュール構造で搭載している。
　DE10形は1エンドが3軸台車であるが、本形式は両エンドともに2軸台車でB-B形配置となっており、軸重は14.7t、台車形式は1エンドがFDT103、2エンドがFDT103Aとなっている。発電用機関はコマツ製水冷4サイクルV型12気筒ディーゼル機関FDML30Z（1,217PS/1,900rpm）で出力895kWである。主電動機は三相かご形誘導電動機FMT102で、出力は160kW×4である。最高速度は110 kmとなっている。
　901号機は2017（平成29）年に試運転、性能試験が行われ、2018（平成30）年4月に愛知に転属した。愛知の配置となったが、主に東北本線・石巻線・仙石線の貨物列車に運用されている。
　そして、2019（令和元）年から量産機の製造が始まり、8月に1号機が落成。12月までに量産機は計8両が愛知に配置された。2020（令和2）年3月改正時点では石巻貨物のほか、新潟地区、富山地区、山陽地区で運用されている。