JR北海道において、老朽化が進んでいるキハ40形の置換用として、2018(平成30)年より製造されている一般形気動車で、JR東日本のGV-E400系と基本仕様を合わせた電気式気動車である。
電気式気動車は、ディーゼルエンジンの動力で発電した電力によりモーターで走行するシステムで、落下のおそれのある推進軸、自在継手等がないため安全性が向上するほか、複雑な構造で故障しやすい変速機等もないことで信頼性が向上、電車と共通の機器の採用と、ハイブリッド車のように走行用バッテリーを持たないことにより、メンテナンス時の負担軽減とコスト低減が期待できる。
形式はH100形、愛称は「DECMO(デクモ=Diesel Electric Car
with MOtorsの略)」となった。
車体はGV-E400系と同様に軽量ステンレス鋼(前頭部は一部FRP製)で、車体長19,500mm、両運転台構造である。カラーリングはグリーン(萌黄色)とホワイトのラインで自然との調和を表現、前面のブラックにイエローを配置して警戒色を強調している。
客室内は北海道の自然を表現したカラー(グリーン、ブルーなど)で、乗降口近くにロングシート、車両中央部にクロスシート(横3列・固定式)を配置している。定員99(座席36)名。ユニバーサルデザイン・バリアフリーを考慮し、床面高さは
従来の一般形気動車より低い1,150mmとなり、車椅子スペース、車椅子対応大型便所を設置している。ワンマン運転に対応し、客室内には液晶式で外国語にも対応した運賃表示器を設置している。客室内の照明および前照灯はLEDを採用している。
機関は450PS/2,000rpmで、主発電機(305kW)により、三相交流電源により電力供給を行う。これをPWMコンバータ・VVVFインバータ・補助電源装置が一体構成された主変換装置に送り、PWMコンバータで一旦直流に変換し、VVVFインバータにより三相交流として主電動機に電源供給を行うとともに、補助電源装置により車両の補助回路機器に電源供給を行う。台車はN-DT100(動台車)、N-TR100(付随台車)である。主電動機は全閉形自己通風方式の三相誘導電動機(105kW)を動台車に2基搭載、2軸駆動とすることやモーターの適切な制御及び増粘着剤噴射装置の搭載により、急勾配での落葉や積雪による空転の発生を抑制、ブレーキ制御方式の変更や滑走再粘着制御(自動車の
ABS)機能の追加により、鹿の出現等による急ブレーキ時の車輪踏面傷の発生を抑制し、定時性の確保に努めている。最高運転速度は100km/hで、JR北海道の在来形気動車とは併結できない。
2018(平成30)年2月に量産先行車H100-1・2の2両が川崎重工で製造され、苗穂に配置された。
2019(令和元)年9月より量産車が川崎重工(2021年10月以降に落成したH100-58以降は同社の分社化により川崎車両)で製造され、苗穂のほか、旭川、苫小牧、釧路に順次配置されている。2022(令和4)年度に製造されたH100-80〜83の4両と、2023(令和5)年度に製造される車両のうちの4両は観光列車兼用車両として、内外装が一般車とは異なっている。