キハ160形一般形気動車
概説
JR北海道日高本線用の気動車で、1996(平成8)年1月の踏切事故により使用不能となっていたキハ130形1両(キハ130-5)の代替車として、1997(平成9)年に新潟鐵工所で1両新製された。
車体は、両運転台全長18,500mmの鋼製車体で、同時期に新製されていた津軽鉄道津軽21形を基本とし、踏切事故対策としてプロテクタの設置による前面強化がなされている。側扉は有効幅950mm幅の引き戸を片側2ヵ所に設置、側窓はキハ150形100番代と同様に上部が内側に開くようになっているが、風圧により閉まらないよう改良されている。
客室内は1+2クロスシートとロングシートを組み合わせたセミクロスシートで、化粧板、腰掛、床敷物等はキハ150形に準じている。車椅子スペースは3位側、便所は4位側に設置されている。定員110(座席42)名。
機関は直噴式ディーゼル機関N-DMF13HZF(330PS/2000rpm)を1台搭載している。台車はキハ150形と同様で、N-DT150(動台車)・N-TR150(従台車)である。
塗装は、当初キハ130形に準じていたが、後にキハ40形350番代に合わせたものに変更された。
ハイブリッド駆動システム搭載工事
JR北海道において排気ガス、騒音などの環境対策、二酸化炭素など温室効果ガス排出と燃料消費量の抑制等を目指したディーゼルハイブリッド車両の開発に取り組んできた結果、新たなディーゼルハイブリッド駆動システムとして、モータ・アシスト(MA)式ハイブリッド駆動システムを開発した。
モータ・アシスト式ハイブリッド駆動システムは、エンジン出力を車輪に伝達するアクティブシフト変速機とモータを組み合わせ、コンバータ/インバータ、バッテリ、制御装置で構成して高出力の動力を得られるものである。
JR北海道ではアクティブシフト変速機を試作し、電車等に使用されているインバータ装置、モータ、リチウムイオン2次電池を組み合わせて動作確認試験を行った後、2007(平成19)年にキハ160形の動力装置を換装して試験を行うことになり、液体変速機とトルコン油冷却器を撤去、アクティブシフト変速機と、モータ、インバータ装置を搭載した。機関は従来のものから、コモンレール式のもの
(330ps/2,100rpm)に変更された。
2007(平成19)年に苗穂工場にて各種確認を行った後、2008(平成20)年にかけて北海道洞爺湖サミットに合わせての東室蘭-室蘭間におけるデモンストレーション走行など、本線走行試験が行われた。
塗装は白をベースに青と萌黄色を配し、車体側面全面に「Inno Tech
Train」、戸袋部分に「Cooperative Tilting」、「Hybrid Tracion」、「Reduced
Track Load」のロゴを配している。
苫小牧の所属で、苗穂工場に留置されていたが、2013(平成25)年に廃車となって形式消滅した。
キハ160-1
キハ160-1(札トマ)
1997.3新製→2007ハイブリッド化改造→2013.12廃車
2012年7月28日 苗穂工場にて
N-DT150台車
2012年7月28日
N-TR150台車
2012年7月28日