2011（平成23）3月12日の九州新幹線博多-新八代間開業による鹿児島ルート全線開業に伴い、従来の特別快速「なのはなDX」に代わって観光特急「指宿のたまて箱」を同年3月13日から運転することになった。同列車の専用車両として、キハ47-8060（指宿方1号車）＋キハ47- 9079（鹿児島中央方2号車・旧車号キハ40 1079）が小倉工場で改造された。
列車名は指宿が浦島太郎伝説の発祥の地であることに因んでおり、扉が開くと玉手箱の煙に見立てた霧が出る演出も用意されている。
　車体塗色は山側を黒、海側を白の配色とした大胆なもので、1号車の車内は客船やヨットに用いられるチーク材を使用、前位にはグループ用のボックス席が左右に1ボックス、中央部には錦江湾に向けてカウンター席5席を配置、カウンター席の向かいは本棚に囲まれたフリースペースのソファ席を設置している。3位側車端部にはサービスカウンター、4位側には車椅子対応便所を設置している。2号車は南九州産杉材を使用、1号車とは雰囲気を異にする。前位側はカウンターとキッズチェア、ベビーサークル、ソファを配置したフリースペースである。客席は錦江湾側がすべてカウンター席、山側は車体の出入口側が2人掛けの一般席で、中央部が本棚に囲まれたソファ席（1人用、2人用）である。便所設備はない。
　また、当車においては鉄道総研と日立オートモティブシステムズが共同開発した可変減衰上下動ダンパを用いた制振制御システムが採用された。これは、レールの継目通過時に発生する上下方向の車体剛体振動に対して、可変減衰機能を持つ上下方向の油圧ダンパをまくらばね（空気ばね）と並列に取り付け、このダンパの減衰力を加速度センサで測定した車体の振動に合わせて制御し、振動を抑制するシステムで、鉄道用の上下振動制御システムとして世界で初めて実用化されたものである。以降のJR九州の観光列車に採用されている。
　多客期には「はやとの風」仕様で共通予備車となっていたキハ140-2066を増結して3両編成で運転されていたが、2012（平成24）年3月にはそのキハ140-2066を「指宿のたまて箱」仕様に再改造した。