キハ185系特急形気動車｜JR九州譲渡車

概説

　JR九州では、1992（平成4）年7月ダイヤ改正において、急行「由布」および「火の山」をそれぞれ特急に格上げして「ゆふ」（博多-別府間・久大本線経由）、「あそ」（熊本-別府間）とすることになった。それに伴い、同年、JR四国よりキハ185系20両（キハ185-1～8・10・15・16、1001・1004・1008・1011・1012、キロハ186-3・5・6・7）が譲渡され、リニューアル改造およびキロハ186形の2機関化・全室普通室化（キハ186形に形式変更）が行われた。
　客室内は腰掛のモケット、床敷物、カーテンなどが交換され、便・洗面所もリニューアル、キロハ186形の普通席の転換クロスシートについては、回転リクライニングシート化された。また、キハ185形0番代のうち、1号車となる車両（2・4・6・9・10・16）については、後位側の座席8席分が撤去され、3位側に車販準備室、4位側に公衆便所が設置された。
　車体の飾り帯については、JR四国時代の水色からJR九州のコーポレートカラーの赤を基調として青の細帯を配したものになった。
　2004（平成16）年に九州新幹線が部分開業したのに伴い、それらに接続する路線の観光列車についても整備を行うことになり、特急「あそ」と急行「くまがわ」を廃止し、別府-熊本-人吉間を直通する特急「九州横断特急」と熊本発着の特急「くまがわ」に系統が整理されることになった。これに伴って、2004（平成16）年3月にキハ185-2・4・6・8・とキハ185-1001・1004・1008・1012については駅収受方式のワンマン化改造と自動放送装置の設置が行われた。（後にキハ185-10・1011にも施工）また、車体色は全面的に赤となり、黒地に金文字のエンブレムが取付けられた。
　さらに同年夏より、リニューアル工事が開始され、客室内前面仕切りのガラス化と助士席へのウッドカウンター設置、床のフローリング化、荷物棚、窓台テーブル、腰掛背面テーブル、肘掛けの木製化、便所の洋式化、全面禁煙化による洗面所の喫煙ルーム化などが行われている。（リニューアル工事はワンマン車以外の車両にも施工）
　また、2008（平成20）年より機関換装工事が開始された。施工車は機関がSA6D125HE-1-K32（250PS/2000rpm）×2基に、液体変速機はTC2A-DF115AからTACN-22-1612Cに変更された。2008年度はキハ185-16に施工され、その後キハ185-3・4・15などに施工されている模様である。
　キハ185-4・1012は、2011（平成23）年から運転を開始した三角線の観光列車「A列車で行こう」（臨時特急）用に改造され、機関換装も施工されている。

キハ185-1・3・4・7・15

便所付の先頭車で、定員60名。
写真はリニューアル工事施工車で、外観上では前面が窓回り以外を全て赤色とし、フォグランプが追加されたのが目立っている。
キハ185-1（分オイ）
キハ185-1　1986.8新製→1992.2　JR四国除籍→1992.2　JR九州入籍→2004.12　リニューアル工事
2010年5月25日　博多駅にて

写真は1・3位側を示す。
キハ185-5（分オイ）
1986.9新製→1992.2　JR四国除籍→1992.3　JR九州入籍→19--.--　リニューアル工事
2010年5月28日　鳥栖駅にて

キハ185-2・4・6・8・10・16

後位側に電話室と業務用室が新設されて、定員は8名減の52名となったもので、その部分の窓配置が変更されている。

キハ185-1001・1004・1008・1011・1012

便所なしで定員64名。
写真は「九州横断特急」、「くまがわ」用に2004（平成16）年にワンマン化改造されたもので、窓周り以外は外装は赤一色となっている。さらにリニューアル工事施工に伴い、前面にフォグランプが追加された。
キハ185-1004（分オイ）
キハ185-1004　1986.9新製→1992.2　JR四国除籍→1992.4　JR九州入籍→2004.3　ワンマン化→2004.12　リニューアル工事
2010年5月29日　熊本駅にて

キハ186-3・5・6・7

キロハ186-3・5・6・7をJR九州入籍に際して全室普通席化した中間車。客室内の普通室、旧グリーン室間の仕切りは残されている。冷房用のパワーユニットが撤去され、前位に機関（DMF13HS）と変速機が増設され、従台車については減速機が取付けられて動台車化されている。定員56名。
キハ186-6（分オイ）
キロハ186-6　1986.10新製→1992.2　JR四国除籍→キハ186-6　1992.6　改造・JR九州入籍
2010年5月25日　博多駅にて