JR九州では、2004（平成16）年3月13日に九州新幹線新八代-鹿児島中央間が開業するのに伴って、新幹線に接続して霧島温泉、えびの高原方面への観光列車を運転することになった。こうして登場したのが特急「はやとの風」（鹿児島中央-隼人-吉松間）で、使用車両はキハ140 2066、キハ147 1045を種車として2004（平成16）年2月に小倉工場で改造された。形式番号は変更なく、キハ47-1045（1号車・自由席）-キハ140-2066（2号車・指定席）で組成された。
　「スピードを追求する新幹線で生まれた余裕ある時間でのスローな旅を」をコンセプトとして改造され、愛称の「はやとの風」は古代日本において薩摩・大隅地区に居住した人々「隼人」に由来する。デザインは水戸岡鋭治氏のドーンデザイン研究所が手掛けている。
　車体は中央部に床面から天井に至る大型のガラスを配置、塗色は黒酢、黒豚など薩摩の名産品をイメージした「ロイヤルブラック」となっている。
　客室内は木材を多用してレトロ感を演出し、床面はフローリング化、腰掛は回転リクライニングシートに改装、大型ガラス部には木製テーブルとベンチを配置した展望スペースを設置している。便所については循環式の洋式便所にリニューアルされた。種車の冷房装置は室内分散方式のAU600Kであったが、屋根上集中式（AU619K・AU620K）に再換装された。
　2004（平成16）年3月13日から運転を開始し、当初は臨時列車の扱いであったが、2006（平成18）年にキハ47-8092が加わり、これを1号車として、従来の1号車キハ47-1045は方転して2号車に変更、キハ140-2066は予備車として「はやとの風」は定期列車化、多客期には3両編成で運転された。単行運転が可能なキハ140-2066は、一時期設定されていた臨時特急「人吉はやとの風」にも使用された。
　2011（平成23）3月12日ダイヤ改正で「指宿のたまて箱」が運転を開始、キハ140-2066は特急「はやとの風」・「指宿のたまて箱」の共通予備車となり、2012（平成24）年に「指宿のたまて箱」仕様に再改装された。
　特急「はやとの風」は2015（平成27）年3月改正では2号車の座席も大半が指定席化され、2018（平成30）年3月改正では再び臨時列車化された。
　2020（令和2）年には新型コロナウィルスの感染拡大や、接続する肥薩線の豪雨による不通といった背景もあり、9月19日より当面の間運休されることになったが、2022（令和4）年には西九州新幹線開業に伴って運転開始する観光列車「ふたつ星4047」用に再改造されることになり、「はやとの風」は運行終了した。キハ47 8092はキハ47-4047、キハ147 1045はキハ147-4047に改造された。。