JR西日本では、2018（平成30）年7～9月に｢山陰デスティネーションキャンペーン｣が開催されるのに伴って山陰エリアで新たな観光列車を運行することになり、キハ47 3016・2010を種車として、後藤総合車両所でキロ47 7005・7006が改造された。出雲市方1号車からキロ47 7006＋キロ47 7005の2両編成を組む。

愛称の「あめつち」は、山陰地方を舞台にした神話が多く書かれている古事記の書き出し「天地の初発の時（あめつちのはじめのとき）」に由来する。コンセプトは山陰地方は、豊かな自然、神社、お酒、歌舞伎、相撲など、日本文化の様々なルーツがあるとされ、また多くの神話が誕生した地であることから「ネイティブ・ジャパニーズ」とされ、乗客に山陰ならではの「古くて新しい日本」を発見してもらう旅を演出するものとしている。コンセプトワーク・総合ディレクション・監修を島根県出雲市出身の映画監督錦織良成氏が、車両デザイン色彩を島根県松江市出身のアニメーション美術監督吉田昇氏が担当した。

車体は山陰の美しい空や海を表現して「紺碧（こんぺき）色」をベースとし、全体をメタリックな色彩で仕上げて神々しい雰囲気を表現、車体側面下部の銀色の帯模様は、山陰の美しい山並みと、たたら製鉄にちなみ日本刀の刃文（はもん）を表現している。

ロゴデザインは「天」に対して光の放射状の縦ライン、「地」に対して海の横ラインを対照的に見せ、天つ神々・太陽、七つの八雲、金鵄（日本神話に登場する金色のトンビ）、山・海、白兎、ワニ（鮫）をモチーフとし、車体には出雲市内の企業（吉川製作所）が製作したエンブレムが取り付けられている。

客室内の座席は座席は2両とも海側（宍道湖側）にカウンター席と4人ボックス席、山側（大山側）に2人ボックス席を配置している。

また、天井の照明部分は因州和紙（鳥取県）、テーブルの装飾には石州瓦（島根県）、洗面台の手洗い器には岩井窯（鳥取県）、物販カウンターの暖簾には西尾絞り（鳥取県）が使用されるなど、地元山陰の工芸品が採用されている。その他に出入口付近には鳥取県の弓浜絣、倉吉絣、島根県の出雲織、2号車に島根県の神楽衣裳（ミニチュア）を展示している。窓側壁面の装飾は１号車が隠岐の黒松（島根県）、２号車が智頭杉（鳥取県）を用いている。

このほか、「あめつちのテーマ」というテーマソングが出雲市出身のシンガーソングライター浜田真理子氏により制作されて出発時に流される。

車内では事前予約制により「あめつち御膳」、「大江ノ郷（おおえのさと）スイーツセット」、「山陰の酒と肴（さかな）」、「松江の和菓子詰合せ」といった地元の味覚が楽しめるようになっている。

後藤に配置され、2018（平成30）年7月１日から土・日・月曜日を中心として鳥取-出雲市間１往復の営業運転を開始した。