E001系特急形交直流電車（EDC方式=非電化対応）「TRAIN SUITE 四季島」

概説

　JR東日本では、観光立国の推進の一環として、2016(平成28)年春以降に豪華列車（クルーズトレイン）を導入することが2013（平成25）年6月に発表された。車両のデザインコンセプトを「時間と空間の移り変わりを楽しむ列車」とし、工業デザイナーの奥山清行氏がプロデュースを担当することになった。また、車両性能としては、電化・非電化区間を問わず走行を可能とし、安定した走行性能と高い冗長性を両立する新開発の動力方式としてEDC方式が採用されることになった。EDC方式は電化区間では架線から供給される電力によって走行し、非電化区間では大出力のディーゼル発電機からの自給電力によって自力で走行、いずれにおいても電車と同様に電動機を駆動させて走行するもので、安定した走行性能と高い冗長性が期待されるシステムとして、日本の鉄道車両では本系列で初めて採用されることになった。　2014（平成26）年6月には車両デザインとシンボルマークの決定とともに、運行開始時期が2017（平成29）年春頃とされた。さらに2014（平成26）年10月には列車名が「TRAIN SUITE 四季島（トランスイートしきしま）」と決定された。「四季島」は日本の古い国名「しきしま」をもとに、美しい四季と伝統を感じながらの旅を連想させ、時間と空間の移り変わりを楽しむ列車であるということから命名された。　2016（平成28）年に川崎重工業で1～4、8～10号車、2017（平成29）年に総合車両製作所横浜事業所で5～7号車が製造された。10両編成で1号車からE001-1（展望エリア付き動力車）＋E001-2（スイート車）＋E001-3（スイート車）＋E001-4（スイート車）＋E001-5（デラックススイート車）＋E001-6（ダイニング車）＋E001-7（ラウンジ車）＋E001-8（スイート車）＋E001-9（スイート車）＋E001-10（展望エリア付き動力車）の10両編成で、形式番号は独自のものとなり、表記は妻面にある。
　1・2・3号車および8・9・10号車が3両ユニットの電動車として構成され、制御方式は主変換装置によるVVVFインバータ方式である。電気方式は直流1,500V、交流20kV 50/60Hz、交流25kV 50Hzの4電源方式に対応しており、北海道新幹線を経由してJR北海道への直通運転にも対応する。直流電化区間においては2・3・8・9号車に装備されたパンタグラフにより架線から集電を行い、各電動車に搭載された主変換装置のVVVFインバータに電力を供給、交流電化区間では2･9号車に搭載された主変圧器により降圧された後に各電動車の主変換装置に供給される方式である。非電化区間などで気動車として運転される際は1・10号車に搭載されたディーゼル発電機により電力の発電を行う。保安装置はDS-ATC・ATS-P・ATS-Ps・ATS-DNを装備している。台車は先頭車がDT83、中間車がDT84とTR266、TR267で、左右の車体の揺れを抑えるフルアクティブサスペンションやダンパの減衰力を切替えて車体の上下振動を緩和させる可変減衰上下動セミアクティブダンパを装備、ヨーダンパは、中間車のみ装備している。
　車体は、先頭車についてはダイナミックに流れる自然の景観を感じられるようにガラス張りの形状としており、7号車のラウンジ車には、大きなエントランスドアを設け、ラウンジ全体を覆う樹木のような有機的な窓を設け、6号車のダイニング車は高さを意識した窓、客室にはプライベート性を重視した窓などを配置している。外部塗色はシャンパンゴールドをベースに特別調合した「四季島ゴールド」を基調として、展望車の先端部分やラウンジカーのエントラスドア付近はアクセントとして黒色となっている。車体は川崎重工製がアルミ合金、総合車両製作所横浜事業所製がステンレス鋼となっている。　
　尾久車両センターに配置され、2017（平成29）年5月1日より営業運転が開始された。3泊4日、1泊2日コースを基本として、季節に応じて運行区間が異なっている。

E001-1

上野方1号車として連結される制御電動車／ディーゼル動車で、展望車。ハイデッカー構造の展望室部分には大型の窓ガラスを配し、車両中央部に機関室を設けて非電化区間走行用のエンジン（DML57Z-G）を搭載、車両後部に床置式の非電化区間走行用発電機（DM114）を搭載した機械室を設置、床下には補助電源装置（SC116/130kVA）、主変換装置（CI25）を装備している。定員0名だが、展望室にはひとり掛け3脚と、3人掛けの1脚のソファが左右に配置されている。側出入口は設けられていない。台車はヨーダンパを持たないDT83で、冷房装置はAU221を2基搭載している。
E001-1（東オク）
2016.9新製
2020年12月5日　佐倉駅にて

E001-10

青森方10号車として連結される制御電動車／ディーゼル動車で、展望車。E001-1に準ずる。
E001-10（東オク）
2016.9新製
2017年6月22日　新津駅にて

E001-2

2号車に連結される中間電動車／ディーゼル動車で、スイート寝台車。後位側屋根上にパンタグラフ（PS37C）を搭載。床下に主変換装置、主変圧器を搭載しており、電化区間走行時には直接パンタグラフ集電で走行する。スイート個室は3室設置されており、全室シャワーと便所が配置されている。2〜4、7〜9号車は屋根上に冷房装置（AU739）を4基搭載している。写真は寝台側で、大窓3つが各個室部分。
E001-2（東オク）
2016.9新製
2017年3月19日　会津若松駅にて

E001-3

3号車に連結される中間電動車／ディーゼル動車で、スイート寝台車。後位側屋根上にパンタグラフ（PS37C）を、床下に主変換装置を搭載。スイート個室は3室設置。
E001-3（東オク）
2016.9新製
2017年6月22日　新津駅にて

E001-8

8号車の中間電動車／ディーゼル動車で、スイート寝台車。後位側屋根上にパンタグラフ（PS37C）を、床下に主変換装置を搭載。定員6名で、後位側には小型の非常口が設置されている。
E001-8（東オク）
2016.9新製
2017年6月22日　新津駅にて

E001-9

9号車の中間電動車／ディーゼル動車で、スイート寝台車。後位側屋根上にパンタグラフ（PS37C）を搭載。床下に主変換装置、主変圧器を搭載しており、2号車と同様に電化区間走行時には直接パンタグラフ集電で走行する。定員6名で、2号車と異なり、側出入口は後位側に設置されている。
E001-9（東オク）
2016.9新製
2017年6月22日　新津駅にて

E001-4

4号車でスイート寝台車では唯一となる付随車。床下に補助電源装置を2基装備。スイート個室3室中、1室はバリアフリー対応となっている。E001-1～4・8～10の各車が川崎重工製で、アルミ合金車体となっている。
E001-4（東オク）
2016.9新製
2017年3月19日　会津若松駅にて

E001-7

7号車として連結される付随車でデラックススイート個室車（「四季島スイート」）。メゾネットタイプとフラットタイプが1室ずつ設置され、両部屋ともバスタブ、シャワー、便所を備える。メゾネットタイプは1階が寝室、2階に掘りごたつ式テーブルが設置されている。フラットタイプは2階建て相当の空間に1室を設けて開放感を演出している。定員4名。側出入口は設けられていない。台車間の低床部分に水タンクや汚水タンクを備える。なお、5～7号車が総合車両製作所横浜事業所製で、車体はステンレス鋼。
E001-7（東オク）
2017.2新製
2017年6月22日　新津駅にて

E001-5

5号車として連結される付随車で、ラウンジカー。ダブルデッカーに準じた車体構造を有し、ホテルをイメージして天井を高くすることで旅の高揚感、非日常感を演出し、樹木を思わせる曲面デザインとなっている。中央部には両側にレール方向にずらして開口幅1,500mmの両開きエントランスドアを設け、その部分は黒色に塗装されている。定員0名であるが、18名分の座席が配置されている。台車間の低床部分に水タンクや汚水タンクを備える。5・6号車は屋根上に冷房装置（AU729-62）を2基搭載している。
E001-5（東オク）
2017.2新製
2017年3月19日　会津若松駅にて

E001-6

6号車として連結される付随車で、ダイニングカー（「DINING　しきしま」）。2階建て構造で、ダイニング部分も車端側と中央部で段違いとなっている。モダンに和のテイストを取り入れた内装で、床は大理石。ダイニング中央部にワインセラーを備え、調理室は7号車側に設けている。定員0名だが、座席は18名分となっている。台車間の低床部分に水タンクや汚水タンクを備える。
E001-6（東オク）
2017.2新製
2017年3月19日　会津若松駅にて