373系特急形直流電車
概説
JR東海では国鉄から承継された165系を引き続き急行用およびローカル輸送に使用してきたが、老朽化が進んでいたため、急行列車を格上げする特急列車および中長距離の列車にも使用できるよう汎用性を持つ車両として、1995・96(平成7・8)年に新製されたのが373系特急形直流電車である。
「高い標準性」と「一層の効率化」を図りながら「身近で親しみやすい特急」を基本コンセプトとして開発された。
McTT'cのモノクラス3両編成を基本とし、短編成から長編成までの運用を行うため前面は貫通式で、先頭車には自動電気連結器付の密着連結器を備える。車体はステンレス製軽量構体で、先頭車の前頭部のみ普通鋼となっている。
客室内はシートピッチ970mmの回転リクライニングシートを基本とするが、Mc車とT車の車端部には、4人掛けで固定ボックス座席、中央に大型テーブルを設けたセミコンパートメント席が設置されている。
電気機器については383系と共通化が図られ、東芝製GTO素子を用いたVVVFインバータ制御(C-SC35)であるが、主電動機とブレーキ抵抗器は新設計である。台車は311系とキハ75形を基本としたC-DT63、C-TR248である。
まず1995(平成7)年10月より5編成が静岡-甲府間の急行「富士川」を格上げした特急「ふじかわ」として運転を開始、そしてさらに9編成が増備されて翌1996(平成8)年3月ダイヤ改正で東京-静岡間の急行からの格上げによる特急「東海」(後に廃止)、豊橋-飯田間の臨時急行を定期特急化した「伊那路」、東京-大垣間の夜行列車通称「大垣夜行」を全指定席化した快速「ムーンライトながら」(後に臨時列車化され、その後373系の運行は終了)に使用されるようになった。
2014年3月現在、静岡に配置されて特急「ふじかわ」、「伊那路」のほか、普通列車にも使用されている。
クモハ373-1~14
奇数向(熱海方)に連結される制御電動車。主電動機はC-MT66(186kw)、台車はC-DT63。パンタグラフはシングルアーム式のC-PS27G。冷房装置はC-AU714を2基1組搭載する。135kVAのSIVを床下に搭載。定員60名。車端部にセミコンパートメント席を設けている。
クモハ373-5(静シス)
1995.9新製
2013年3月13日 豊橋駅にて
写真は2012年2月に運転された臨時急行「駒ヶ根トレイン」のラッピングが施されたクモハ373-5。
クモハ373-5(静シス)
2012年2月25日 東栄駅にて
クハ372-1~14
偶数向(大垣方)に連結される制御車。3位側に車椅子対応真空式の洋式大型便所、4位側に男子用小便所と洗面所が設置されている。また、客室内には
4位側出入台寄りに1人掛の車椅子対応座席が1ヵ所設けられている。台車はC-TR248、床下にCPを設置、定員51名。
クハ372-5(静シス)
1995.9新製
2013年3月13日 豊橋駅にて
1・3位側を示す。
クハ372-13(静シス)
1996.1新製
2004年1月12日 沼津駅にて
サハ373-1~14
付随車で、本系列中唯一の中間車。台車はC-TR248、定員68名。両車端部にセミコンパートメント席を設けている。
サハ373-4(静シス)
1995.9新製
2014年3月1日 豊橋駅にて