クヤ497形粘着試験車
概説
鉄道総合技術研究所において、世界で初めて本線上の粘着係数を連続的に測定することを可能とした「すべり粘着台車」TR910の開発・試作を行い、マヤ40形客車やサハ101形(サハ101-1007)にこの台車を履かせて本線上での試験走行を行った。しかしながら、試験の都度台車交換を行う必要が生じることから、専用の「粘着試験車」を用意することになり、クモニ83形800番代(クモニ83805)を種車として、1987(昭和62)年に大井工場で改造されたのがクヤ497-1である。
入線する線区を出来るだけ多くするため、低屋根構造の種車が選ばれ、非電化区間への乗入れを考慮して自車電源を有した機関車牽引が可能とした交直流電車の制御車となった。
車体は種車のものを流用し、パンタグラフは直流区間のみで使用するためPS16を1基搭載している。連結器は機関車、客車併結を行うため双頭形となった。車内は前位寄りから機器室、仮眠室、測定室とし、それに伴って一部を除き荷物扉を埋込み、窓が設置されている。屋根上には冷房装置(AU13E)を2基搭載した。塗装は交直流電車であるため、赤13号にクリーム4号の帯としている。
台車は前位がすべり粘着台車TR910、後位がDT21である。電源は直流区間、交流区間、非電化区間のいずれにも対応できるよう電動発電機とディーゼル発電機の両方を搭載している。
鉄道総研の所有で、車籍はJR東日本豊田電車区に置かれ、試験を行ってきたが、1996(平成8)年に廃車となり、その後フリーゲージトレインの試験にも使用されたが、後に解体された。
クヤ497-1
クヤ497-1(東トタ)
モハ63738 昭和22新製→モハ72274 1952.7改造→クモニ83805 1966.12改造→クヤ497-1 1987.4改造→1996.5廃車
2006年10月14日 鉄道総合技術研究所にて