485系特急形交直流電車｜「リゾートやまどり」

概説

　JR東日本高崎支社のジョイフルトレインで、2011（平成23）年7～9月の「群馬デスティネーションキャンペーン」に合わせて、お座敷列車「やまなみ」の中間車と、「せせらぎ」の各車を種車として、2011（平成23）年2・5月に東急車輛製造で普通座席車に改造された。
　4M2Tの6両編成で、上野方（1号車）からクハ484-703（クロ484-7、カッコ内は旧車号）＋モハ484-703（モロ484-10）＋モハ485-703（モロ485-8）＋モハ484-704（モロ484-11）＋モハ485-704（モロ485-9）＋クハ485-703（クロ485-5）と組成される。2・3号車が「やまなみ」、他は「せせらぎ」が種車である。　
　車体は種車のものをベースとして、2号車を除く各車は側窓の幅を1,200mmから1,000mmに変更している。デザインコンセプトは「癒しと郷愁」で、車体塗色は懐かしさや郷愁をイメージした茶色（ぶどう色2号）を基調に、草木の若葉が萌え出ること意味する萌黄色と合わせて、群馬の山々の豊かな自然を表現している。愛称名は公募の上、群馬県の県鳥ヤマドリから「リゾートやまどり」とし、吾妻線沿線の美しい山々とヤマドリをモチーフとしたロゴマークが車体側面に取付けられている。
　客室内は茶色を基調として、大きな窓から沿線の自然豊かな風景が楽しめるようにしている。客室内は2+1列の回転式リクライニングシートを配置、2号車を除き可動式のフットレストを備える。2号車は大きな荷物を所持する旅客にも対応できるよう、シートピッチが1,550mmと広くなっている（他車は1,200mm）ほか、テーブルは腰掛背面ではなく肘掛収納タイプとなっている。また、2号車にはミーティング室「和」を設置、ベンチ座面を畳とし、壁面には群馬三山が描かれている。また、3号車はバリアフリー対応として、車椅子対応大型便所、車椅子固定ベルト付座席を備え、出入台と客室内で車椅子の方向転換ができるスペースが確保されている。4号車にはキッズルームが設けられているほか、1号車と6号車の先頭部には横向きの座席を有する展望室が設けられている。　
　YD01編成として高崎に配置され、2011（平成23）年7月1日から特急「リゾート草津」として運転を開始、以降も快速「リゾートやまどり」など、臨時列車を中心に運転されている。

モハ485-703

「やまなみ」のモロ485-8を種車として改造された中間電動車（M）で主制御器、主抵抗器等の直流機器を搭載する。3号車として連結され、モハ484-703とユニットを組む。車椅子対応大型便所を設置しており、客室内と出入台には車椅子の回転スペース（写真のロゴ部分）があるほか、3号車と5号車は後位車端部の大窓部分に両サイドに横向きに座席を配置した定員外のフリースペースがある。主電動機はMT54D、台車はDT32E、冷房装置は屋根上にAU714（20,000kcal/h）を2基搭載。定員25名。
モハ485-703（高タカ）
モハ485-58　1972.2新製→モロ485-8　1999.3改造→モハ485-703　2011.5改造
2017年7月23日　宝積寺駅にて

1・3位側を示す。手前のロゴ部分に車椅子対応大型便所が設置されている。
モハ485-703（高タカ）
2017年7月23日　小山駅にて

モハ485-704

「せせらぎ」のモロ485-9を種車とする中間電動車（M）で、5号車として連結されてモハ484-704とユニットを組む。業務用室を設置しており、便所は設置されていない。定員26名。
モハ485-704（高タカ）
モハ485-1071　1978.7新製→モロ485-9　2001.3改造→モハ485-704　2011.2改造
2017年7月23日　宝積寺駅にて

1・3位側を示す。出入台と客室の間に業務用室が設置されており、その部分に窓があるため、モハ485-703とは外観が異なる。
モハ485-704（高タカ）
2017年7月23日　宝積寺駅にて

モハ484-703

「やまなみ」のモロ484-10を種車とした中間電動車（M'）で、主変圧器、主整流器等の交流機器を搭載し、2号車として連結されてモハ485-703とユニットを組む。前位側にパンタグラフ（PS26-1）を1基搭載し、冷房装置は後位側屋根上がAU714、前位側はパンタグラフ搭載のため低屋根となっている関係で床置形のAU183が設置されている。当車のみ種車の窓配置に合わせて座席が配置されており、シートピッチが1,550mmと広く、定員は本グループ中最も少ない18名である。出入台と客室の間に畳敷きのベンチを備えるミーティング室「和」が設置されているほか、乳幼児を連れた旅客に対応するためオムツ交換台などのスペース（写真右側の4位側車端部）が設けられている。
モハ484-703（高タカ）
モハ484-58　1972.2新製→モロ484-10　1999.3改造→モハ484-703　2011.5改造
2012年3月24日　横川駅にて

1・3位側を示す。出入台横のルーバー部分に床置形冷房装置AU183が設置され、その左側の大窓部分がミーティング室「和」となっている。
モハ484-703（高タカ）
2017年7月23日　小山駅にて

モハ484-704

「せせらぎの」モロ484-11を種車とする4号車の中間電動車（M'）で、モハ485-704とユニットを組む。前位側にパンタグラフ（PS26-1）を1基搭載。1,800mm幅の側窓を持つキッズルームが設置されている。定員22名。
モハ484-704（高タカ）
モハ484-1071　1978.7新製→モロ484-11　2001.3改造→モハ484-704　2011.2改造
2017年7月23日　宝積寺駅にて

1・3位側を示す。大窓部分がキッズルームとなっている。
モハ484-704（高タカ）
2017年7月23日　宝積寺駅にて

クハ485-703

6号車の制御車（Tc）で、「せせらぎ」のクロ485-5を種車とする。先頭部には1,800mmの側窓を持つ展望室、4位側に洋式便所、男子用小便所、洗面所が設置されている。160kVAのMGとCPを床下に搭載、台車はTR69H。定員23名。
クハ485-703（高タカ）
サロ181-1102　1978.6新製→サロ481-1502　1982.10改造→クハ481-1105　1990.2改造→クロ485-5　2001.3改造→クロ485-703　2011.2改造
2017年7月23日　宝積寺駅にて

クハ484-703

1号車の制御車（T'c）で、「せせらぎ」のクロ484-7を種車とする。基本構造はクハ485-703と同様である。登場当初は前面に愛称名のプレートを掲出していたが、2012（平成24）年1月にLED表示器が取付けられた。
クハ484-703（高タカ）
サロ181-1104　1978.6新製→サロ481-1504　1982.12改造→クハ481-1107　1991.2改造→クロ484-7　2001.3改造→クハ484-703　2011.2改造
2012年3月24日　横川駅にて

クハ484-703他　

基調となるぶどう色2号は、高崎支社ではEF55形（2015年に廃車となり鉄道博物館に保存）や一般形客車でおなじみの塗色として用いられた。
2012年3月24日　横川駅にて