JR東日本東北本部の宮城県・福島県・山形県の南東北エリアを中心に運行する観光列車で、HB-E300系「リゾートあすなろ」の第2編成（HB-E301-4＋HB-E302-4）を種車として、2023（令和5）年12月に秋田総合車両センターで改造された。

2023（令和5）年9月に「リゾートあすなろ」の第1編成を改造した「ひなび（陽旅）」が先に登場したが、改造内容はそれに準ずる。

愛称名の「SATONO」は、「東北の郷」をイメージし、車窓から眺める郷（さと）の景色や降り立った瞬間の郷の香り、郷の人・文化・食などを乗客に楽しんでもらいたいという思いを込めて命名された。

東京方1号車からHB-E302-704＋HB-E301-4の編成で、1号車はダイニング車両として、事前予約「うけとりっぷ」により南東北の特産品・伝統料理を用いたお弁当を楽しめるよう、テーブルを設けたボックスシートを基本としたグリーン車に改造されて700番代に区分された。2号車はリクライニングシートを中心としたトイレ付きの普通車両となっている。

車体色は南東北の豊かな風土を表現したもので、1号車は緑を基調として、郷・山・森の緑、めぶき、わかば、常磐色、2号車の青は、空の青・川のせせらぎ、海の蒼・雪化粧をイメージしている。2両にまたがる黄色いラインは、木漏れ日や水面に反射する光を表現している。車体前頭部は塗装、側面部はデザインシートのフルラッピングによるものである。後位側には「鉄道の線路」「田・畑」「海・川」を3本のラインとし、東北の雄大な山々を背景に列車が走る様子を表したロゴを配している。

1号車の車内は種車の中央の通路床面とシート床面の130㎜の段差を解消するため、床面を一旦撤去して種車よりも20㎜高い床面高さで全面フラット化している。展望室と出入台は改造前と同じ高さであるため、全面フラット化した床部分とはスロープ状としている。腰掛はグループ旅行向けに4人掛け3組、2人掛け5組のボックスシートを配置し、ひとり旅の乗客用に仕切られた形状の1人掛けシートを窓向きに3席配置している。定員25名。座席には宮城・福島・山形の県旗をイメージしたした三色帯をあしらい、ボックスシート背面には手荷物用の荷物棚、出入台付近4位側には大型荷物置場を設けてその部分の窓を閉鎖している。運転台後部の腰掛やソファーを配置した展望室は色調を変更したものの存置され、AC100V コンセントを設置している。

2号車は2人掛けリクライニングシートを片側8組ずつ配置、車椅子用座席も2席設けている。運転台後部の展望室については、1号車と異なり、腰掛類は撤去され、イベントスペースとなっている。定員34名。

走行機器、性能については種車のものを踏襲しているが、内装面の改造以外としては、只見線での運転に対応するため、衛星電話アンテナが追加されている。

小牛田に配置され、2024（令和6）年4月6日より「あいづSATONO」として磐越西線郡山-喜多方間で営業運転を開始、6月15日からは「さくらんぼSATONO」として左沢線の山形-左沢間でも運転されている。