ITRENINET 鉄道車両形式写真集

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E655系特急形交直流電車


概説

 JR東日本には、国鉄から承継された皇室用客車「1号編成」がお召列車用として在籍しているが、製造から数十年が経過しており、部品の確保も困難であることから新たな車両の開発が行われることになった。また、従来の皇室用客車編成とは異なり、交直流電車として開発され、非電化区間は機関車牽引による走行も可能とするとともに、天皇、国賓等が乗車する「特別車両」を外して、「ハイグレード車両」のみで組成して高級な旅を演出する団体臨時列車にも使用する車両として製作されることになり、2007(平成19)年に東急車輛製造(1~3号車)、日立製作所(4・5号車および特別車両)で製造された。
 特別車両を組み込む場合は3・4号車間に連結して4M2Tの6両編成とし、ハイグレード車のみの場合は4M1Tの5両編成となる。ハイグレード車両は、「乗ってみたくなる従来にない魅力的な車両」をコンセプトとして開発され、開放座席が中心であるが、全車グリーン車とされた。編成は上野方からクロE654-101(1号車)-モロE655-101(2号車)-モロE654-101(3号車)-E655-1(特別車両)-モロE655-201(4号車)-クモロE654-101(5号車)である。 
 車体はアルミ押出形材を組み合わせたダブルスキン構造で、断面形状はE257系特急形直流電車と同一とし、前頭部は非貫通の流線形で、機関車牽引時に使用する自動連結器を収納している。高運転台で、車両モニタリングシステム(TIMS)の液晶モニタ2台を備えるが、他の計器は従来の針式の表示となっている。また、側面に屋根カバー、床下機器を覆う側面カバーを取付けている。1号車を除き客用側扉は1,000mm幅の片側1扉で、1号車は扉を持たない。車体塗色は皇室用車両のこげ茶色であるが、光の当たり方によって変化する特殊なウレタン塗装で、漆塗りの技法「溜め漆」を表現したものである。
 客室内は木目調を主体とし、一般客室は2+1の座席配置で、シートピッチ1,160mm、座席は電動式リクライニング・レッグレスト機構を備える。右手にはインアームテーブル、左手には映画や運転席からの眺望映像などが楽しめるとともに座席からの飲食物注文なども可能な「ITシステム(VIS9=Visual Information-System 9)」の8インチタッチパネルモニタが収納されている。荷棚についてはハットラック式となった。客室内車端部には鏡面カバーに覆われて文字が浮き出る構造のフルカラーLEDの車内案内表示器が設置されている。3号車はVIPスペースと本革張りのVIP仕様のグリーン席(2+1列×3=9席)で構成される。
 「特別車両」は記号を持たず、「E655-1」と称する。中央部に特別室、隣接して前位寄りに休憩室、後位寄りに次室を配しており、車内は壁、天井、テーブルに高級杉材を使用、ソファタイプの座席は菊の花をあしらった紺色の絹織物が張られ、床面は9種類の伝統文様を配した絨毯が敷かれている。
 主回路はIGBT素子PWM3レベルコンバータ・2レベルインバータ方式1C4MのCI15(日立製)で、M車各車に搭載されている。主電動機はE531系に準じたMT75A、台車はE653系などに準じている。主変圧器は2・4号車に、補助電源装置(SIV)と空気圧縮機(CP)は3・5号車、パンタグラフは2・4号車にシングルアーム式のPS32Aが各2基(1基は予備)搭載されている。ブレーキ方式は全電気指令プレーキ制御の回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキで、機関車牽引時は電気指令式併用自動空気ブレーキとなる。また、機関車牽引時のサービス電源供給用として、1号車にディーゼル発電装置が搭載されている。
 ハイグレード車両は尾久、特別車両は東京総合車両センターに配置されている。2007(平成19)年11月に「大人の休日倶楽部」会員向けツアーの団体臨時列車として特別車両を連結しない形で営業運転を開始、翌12月に愛称が「なごみ(和)」に決定した。

クモロE654-101

クモロE654-101

5号車(盛岡方)に連結される制御電動車(M2sc)。床下に主変換装置、SIV(SC87)およびCPが搭載されている。後位側に出入台が設置されている。1位側車端には小便所、洋式便所が設置され、客室寄りには多目的室も有する。定員17名。台車は本系列の電動車に共通するDT76。冷房装置はAU733(15,000kcal/h)を屋根上に2基搭載する。
クモロE654-101(東オク)拡大画像を見る
2007.7新製
2009年7月26日 高崎駅にて

モロE655-101

モロE655-101

パンタグラフ(PS32A)2基(後位側は予備)、床下に主変換装置(TM31A)を搭載する中間電動車(M1s)で2号車に連結される。中央本線の狭小トンネルに対応するため、パンタグラフ取付部は低屋根構造となっている。前位寄りには洋式便所(1位)、小便所(3位)が、後位側には出入台と4位側に小便所が設置されている。定員32名。
モロE655-101(東オク)拡大画像を見る
2007.7新製
2007年8月10日 安食駅にて

モロE655-201

モロE655-201

4号車に連結される中間電動車(M1s)で、主要機器などの基本構造はモロE655-101に準ずるが、車内の仕様は異なり、前位側に多目的スペース、1位側に給仕室が設置されており、窓配置が異なる。定員27名。
モロE655-201(東オク)拡大画像を見る
2007.7新製
2009年7月26日 高崎駅にて

モロE654-101

モロE654-101

3号車に連結される中間電動車(M2s)で、床下に主変換装置、SIV(SC87)およびCPが搭載されている。「ハイグレード車両」の中において、当車のみVIP対応となっており、前位寄りは1位側がVIPスペース、2位側が通路となっている。VIPスペースはソファタイプの座席2脚と2人用長椅子1脚、テーブル、テレビなどとともに専用の化粧室と大型洋式便所が配置され、通路とは壁で仕切られた個室となっている。後位側は開放座席9席を配するが、座席は他車が布張りであるのに対し、当車のみ本革張りとなっている。後位側に出入台を持つ。定員9名。
モロE654-101(東オク)拡大画像を見る
2007.7新製
2009年7月26日 高崎駅にて

クロE654-101

クロE654-101

1号車(上野方)に連結される制御車(Tsc')。床下に機関車牽引時のサービス電源供給用としてディーゼル機関DMF15HZC-G(430PS/1800rpm)と発電機DM111(440kVA)が搭載されている。3位側に洗面所と小便所、4位側に洋式便所が設置されているが、当車のみ出入台を持たない。台車はTR261。定員22名。
クロE654-101(東オク)拡大画像を見る
2007.7新製
2009年7月26日 高崎駅にて

E655-1

E655-1

特別車両(TR)で、天皇や国賓が利用される特別列車として運転される場合に3・4号車間に連結される。中央部に特別室、隣接して前位寄りにソファや三面鏡を設置した休憩室、後位寄りに次室が配され、後位側に出入台を持つ。特別室部分の窓の天地寸法は他よりも大きい950mmで、中央部は電動昇降式で幅2,200mmの大窓となっており、特別列車運転時にはその部分の車体側面に菊の御紋が取付けられる。冷房装置はAU303を1基搭載、台車はTR261A。
E655-1(東トウ)拡大画像を見る
2007.7新製
2007年8月29日 我孫子駅にて

クモロE654-101他

特別車両を組み込み成田線で試運転を行ったE655系

クモロE654-101他 拡大画像を見る
2007年8月10日 安食駅にて

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