ITRENINET 鉄道車両形式写真集

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キハ261系特急形気動車


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基本番代グループ概説

 北海道の鉄道における都市間輸送の高速化は、札幌-旭川・函館・釧路の3都市間に続き、札幌-名寄間の宗谷本線においても実施することになった。この高速化事業は、1997(平成9)年にJR北海道と北海道および沿線自治体が出資する第三セクターの北海道高速鉄道開発(株)が事業主体となって、旭川-名寄間の駅施設や軌道の改良(最高運転速度を95km/hから130km/hとする)および特急用新形式車両の導入を行う。そこで1998(平成10)年より新製されたのがキハ261系である。
 厳しい気象条件で輸送量の少ない宗谷本線で使用することから、冬期にも安定した走行性能を持ち、魅力あるサービスを提供する車両というコンセプトをもとに開発が進められ、キハ283系の振子式ではなく、キハ201系に準じた車体傾斜制御装置を有する。軽量ステンレス車体で(前頭部は鋼製)、最高速度は130km/h。
 編成は、稚内方からキロハ261形100番代(Mcs)-キハ260形200番代(M2)-キハ260形100番代(M1)-キハ261形100番代(Mc)の4両編成を基本としており、中間の2両の中央寄りには簡易運転台を設置して多客期の増結作業を容易にした。McsとM2車(編成番号SE-201~)とMc車とM1車(編成番号SE-101~)をそれぞれ2両固定としている。
 車体は軽量ステンレス構体で、前頭部のみ普通鋼製である。車体傾斜制御装置を搭載するため、キハ201系など同様に、車体断面は上方が窄まっている。前頭部はキハ281系、キハ283系と同様に高運転台で、前面に貫通扉を設置しており、衝撃吸収構造となっている。耐寒耐雪構造として、側引戸を室内側から4本の空気シリンダで押し付けて気密性を向上させ、高速走行時に戸袋内への雪の浸入による側引戸の凍結や開閉不良を防止する仕組みが採用されている。
 本グループの特徴として、JR北海道と姉妹提携を行っているデンマーク国鉄(DSB)とのデザイン共同作業のもとに、内装を中心にDSBのプランが数多く採用されている点が挙げられる。DSBは、内装のカラープランと材料の選択、グリーン車のシートデザイン、外装のカラープランについて原案を制作、それを基に共同案が作成された。共同案として、普通車の座席生地については車両毎に色を変える提案を採用、床敷物については社内を広く見せるダイヤゴナルパターン(菱形模様)が採用された。客室内については、明暗を付けることで親しみのある雰囲気を作り出すという提案を基に、蛍光灯照明に加えてハロゲンランプが組み合わせされた。エクステリアデザインについては、キハ281系などのブルーとライトグリーンを使ったブロックパターンの塗り分けを基本として、サロベツ原野に咲くエゾカンゾウの花をイメージした黄色をアクセントとしている。また、量産車の登場後、先頭車には車体傾斜装置の搭載を示す「Tilt261 Active Air Suspension System」のロゴが配された。 
 機関、変速機、減速機等の駆動装置についてはキハ201系に準じているが、M1車のみ駆動・発電システムを1基分としている。4両編成で7エンジンとなり、出力はキハ201系の450PSよりも10PSアップしている。機関の冷却装置は北海道中央の盆地部を走行することから、夏期の高温を考慮してキハ201系よりも冷却能力を向上させている。車体傾斜装置は、前述のとおりキハ201系に準じているが、一部仕様が変更されて性能向上が図られている。
 1998(平成10)年12月に富士重工業で量産先行車4両が落成して各種走行試験が行われ、1999(平成11)年に内装を中心に一部仕様変更した量産車8両(キロハ261-202・203、キハ261-102・103、キハ260-102・103、キハ260-202・203)が新製され、量産先行車についても量産化改造が行われた。以上の12両は北海道高速鉄道開発が車籍を有する。
 2000(平成12)年3月11日ダイヤ改正より札幌-稚内間の特急「スーパー宗谷」として運転を開始した。
 2001(平成13)年10月にキハ261-104、キハ260-104の2両が増備され、この2両はJR北海道の所属である。
 2006(平成18)年3月18日より北海道内特急全面禁煙化に伴って、喫煙コーナーについては灰皿を撤去してフリースペースとされた。
 また、車体傾斜制御装置については、カーブを高速で走行することによる車両や軌道への負担軽減や、傾斜させるため大量に使用する空気を供給する機器のトラブルを未然に防ぐことを目的として 2014(平成26)年8月30日ダイヤ改正より、使用停止となって撤去され、先頭車ロゴについても「HET 261 Hokkaido Express Train」に変更された。
 さらに、2017(平成29)年より自動幌装置の撤去が進められることになった。 
 引き続き全車苗穂に配置されており、2017(平成29)年3月4日ダイヤ改正では、宗谷本線の特急列車系統が再編され、特急「宗谷」、「サロベツ」として運転されている。

1000番代グループ概説

 老朽化したキハ183系の取替用として、2006(平成18)年から製造された。
 まずは札幌-帯広間で運転されていた特急「とかち」のキハ183系を置き換えるため、2006・07(平成18)年に1・2次車が登場し、2007(平成19)年10月1日ダイヤ改正から「スーパーとかち」として営業運転を開始した。
 本グループは車両メーカー(川崎重工)で構体および台車を製造し、室内および床下機器等をJR北海道グループが製造して苗穂工場がぎ装を担当する「ノックダウン方式」による製造が採用された。まず、2006(平成18)年に1次車としてMcs車(キロ261-1101)、Mc車(キハ261-1201)、M1車(キハ260-1101)、M2車(キハ260-1201)の4両、そして2007(平成19)年に2次車としてキロ261-1102、キハ261-1202、キハ260-1102・1202およびM3車キハ260-1301~1305の13両が製造された。
 基本番代グループでは半室グリーン車を連結していたが、本グループでは全室グリーン車を連結している。編成はMcs+M1+M3+M2+Mcの5両編成を基本としており、Mcs車とM1車(編成番号ST-1101~)、M2車とMc車(編成番号ST-1201~)を2両固定編成としている。増結車両については基本番代グループと異なり、中間車のM3車を加えることとし、先頭部には増結できない構造で、最大10両編成までの組成が可能である。なお、モニタ装置の伝送方式やホロ構造の違いにより、基本番代グループとの連結による営業運転はできない構造となっている。 
 車体は789系特急形交流電車を基本とした軽量ステンレス製構体(前頭部のみ普通鋼)で、床下機器等はキハ261系基本グループを基本として設計された。このため、先頭車の全長はキハ261系基本番代グループよりも200mm長くなり、車体高さは30mm低くなった。客室の側窓は新開発の強化ガラスとポリカーボネイトの複層構造によるもので、車体外板は789系と同様のダルフニッシュ仕上げとなっている。また、各車に転落防止ホロが設置された。エクステリアデザインについては、基本番代グループと同様のブロックパターンであるが、エゾカンゾウの黄色部分がエゾスカシユリをイメージしたオレンジ色に変更され、ロゴマークについても同様である。
 客室内は床敷物に100番代と同様のダイヤゴナルパターン(菱形模様)が採用されたが、腰掛の生地は青(Mc)と緑(中間車)とされた。グリーン席は基本番代グループと同様に青の牛革であるが、床の絨毯は789系と同じウール100%のロール式絨毯である。また、火災対策として客室の天井パネルが新たな基準に適合するものに変更となっている。シートピッチは基本番代グループと同じである。
 性能は営業運転最高速度130km/hで、基本番代グループと同様に空気バネによる車体傾斜制御装置が採用され、最大2車体を傾けることで、振子車両には及ばないが、低コストでの曲線通過速度の向上が可能である。 
 駆動機関は100番代はM1車が1基搭載であったが、全車2基搭載となっている。形式は排気ガス低減対策のため、燃焼室の形状等が変更されて燃焼効率が改善されたN-DMF13HZJ(460PS/2100rpm)に変更された。台車は100番代と同様の軽量ボルスタレス台車で、車軸ジャーナル部の直径がφ110mmからφ120mmに変更されたN-DT261Aである。
 2009(平成21)年には3次車キハキロ261-1103、キハ261-1203、キハ260-1103・1203・1306~1309の8両が製造されているが、その間2009(平成21)年10月1日ダイヤ改正では「とかち」系統のキハ183系が置き換えられた。
 2009(平成21)年から「スーパーとかち」の指定席に充当される普通車の座席の大型化、可動式枕・チケットホルダー・ドリンクホルダーなどを取付けた「グレードアップ座席」化が進められ、5両編成の2・3号車となるキハ260形1100番代・1300番代の全車に施工された。その後2010年(平成22)年10月から「スーパーとかち」の基本編成が4両に短縮されるのに伴い、4両編成時に3号車となるキハ260形1200番代にも施工された。
 2013(平成25)年には、2011年(平成23年)5月に発生した石勝線脱線火災事故により廃車となったキハ283系の代替として、3次車キハキロ261-1104、キハ261-1204、キハ260-1104・1204・1310・1311の6両が製造製造されたが、この時の増備車からぎ装は苗穂工場に代わって新潟トランシスにて行われている。
 2014(平成26)年8月30日ダイヤ改正をもって本系列の車体傾斜制御装置の使用は取りやめとなり、2015(平成27)年度の増備車(5次車)以降は同装置の搭載が省略されている。これに伴って5次車については、先頭部側面のロゴを4次車までの「Tilt261 Active Air Suspension System」から「HET 261 Hokkaido Express Train」に変更された。
 また、2014(平成26)年9月には、次世代特急形気動車として開発が進められていたキハ285系の開発中止が発表され、本グループを継続して製作することが発表された。
 2015・16(平成27・28)年には5次車としてキロ261-1105~1108、キハ261-1105~1108、キハ260-1101~1108・1201~1208・1312~1323が製造された。この時の増備車から自由席車も含めてすべての普通車の座席が上述の「グレードアップ座席」仕様となった。また、この時の増備車までの落成配置はすべて札幌運転所である。
 なお、この間2015(平成27)年9月には、本グループのエクステリアデザインの変更が発表された。これは、水平ライン基調のデザインとして「伸びやかなイメージ」と「雄大な大地」を表現し、北国に降り積もる行き、滑らかさ、誠実さをイメージしたホワイトを基調として、北海道を代表する花の色(ラベンダー、ライラック)のパープルの帯を配し、前面貫通扉およびその周囲を警戒色として菜の花畑などをイメージした黄色とするもので、キハ261系1000番代のみを対象として、基本番代グループと他の特急車は変更されない。2016(平成28)年度以降の新製車両が落成当初から新デザインとされたため、新デザイン導入発表後も5次車までは旧デザインのカラーで落成し、旧デザインの車両は2017(平成29)年度末までに新デザインに統一されることになった。
 2016(平成28)年3月26日の北海道新幹線開業に伴うダイヤ改正で、特急「スーパー北斗」3往復に本グループが投入され、基本、8両編成で運用されることになった。 
 2016(平成28)年には6次車キロ261-1109・1110、キハ261-1109・1110、キハ260-1109・1110・1209・1210・1324~1327が製造されて函館に配置、このグループは当初から新デザインのカラーリングで落成した。また、前面のワイパーの本数が2本となり、愛称表示器が幕式からフルカラーLEDに変更され、愛称表示器は在来車についても変更されている。
 2017(平成29)年3月4日ダイヤ改正では、キハ183系の「北斗」1往復が本グループに置換えられて「スーパー北斗」となった。「スーパー北斗」の基本編成は7両編成となった。また、「スーパー北斗」の運用は札幌運転所から函館運輸所の担当となり、5次車の一部は札幌から函館に転属している。
 今後もキハ183系の老朽取替として増備が進められる予定。

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